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Monday

ヴィクトリアンのちいさな光と影/Victorian Crested China Vase "PORCHESTROOM"

アフリカ、ポチェフストルームの紋章がつけられたクレステッドチャイナ









素朴な白い陶肌に、PORCHESTROOM(南アフリカの都市)の紋章が描かれた、クレステッド・チャイナ。

Crested China/クレステッド・チャイナとは、このように各地の紋章がついている小さな陶器のことをいいます。主にヴィクトリア時代後期から1930年代頃までに多く作られました。

ヴィクトリア時代、英国では鉄道網が発達し、一般庶民でも旅行を楽しむことができるようになりました。そして、旅行に行った先で欲しくなるものは、お土産。

沢山の物を飾り付けるヴィクトリアンの室内装飾において、お土産の小物はまさにうってつけのアイテムだったことでしょう。


そして、庶民が旅行に行けるようになった、といっても、まだまだいけない人は沢山いたでしょうから、行った先が一目でわかるようなものであれば、家に来たゲストにさりげなく自慢ができるというもの。

そんな理由から、小さくて持ち運びが容易、そしてご当地の紋章が描かれているクレステッドチャイナは、たいへんな流行となりました。



・・・さて、南アフリカのPORCHESTROOM/ポチェフストルームに、なぜヴィクトリアンの英国で流行していたクレステッドチャイナが作られていたのでしょうか?

南アフリカにおいて、19世紀初頭からケープタウンを中心とした地区は、大英帝国の植民地でした。

このポチェフストルームはケープ地区からは外れた場所でしたが、第2次ボーア戦争(独立ボーア人共和国であるオレンジ自由国及びトランスヴァール共和国と大英帝国の間の戦争/1899-1902)で勝利した英国によって強制収容所が建設されるなど英国と深いかかわりをもつ街でもあります。

そのため、多くの英国人が滞在しており、その人たちの土産物用にクレステッドチャイナが作られたのではないでしょうか。

チャイナが弾丸の形をしているのは、戦争に関わりがあるという証なのかもしれません。

小さな陶器は、時につらい歴史の証人でもある、という現実をみせられたような気がします。


ちなみに、紋章のモットーは、「Esse quam videri /見かけより実質を」。

現在は連邦最大の学園都市のひとつとなり、「city of expertise(知識の街)」という愛称で親しまれているポチェフストルーム。


歴史がつくった影を、これからの明るい光が弱めてくれることを願ってやみません。



◆England買い付け:南アフリカ
◆推定製造年代:19世紀後半
◆素材:陶器
◆サイズ:高さ約7cm
◆在庫数:1点のみ

【NOTE】
*製造時からと思われるスポッツや、底に若干の汚れ、金彩の剥がれがございます。
*大きな欠けやヒビなどはみあたりません。
*製造方法によると思われる貫入がございます。
*古い焼き物ですので、お取り扱いにはご注意ください。


アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。


http://toddlowrey.com/?pid=108079779


Todd Lowrey Antiques
by d+A