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Friday

地の気の流れを計り知る / Antique Victorian Brass Dip Needle

 英国アンティーク、ヴィクトリア時代の伏角計。

















伏角計(ふっかくけい)、ご存じでしょうか。


地球は球形なので、当然磁気の流れは平面方向だけでなく縦方向にも存在します。この縦方向、つまり水平面となす角を「伏角」といいます。

場所により異なり、国土地理院の2020年磁気図によれば、東京の伏角は49度となります。

参考:国土地理院 磁気図(伏角)2020年値

また、磁北が年々動いていることから、ある地点の伏角も少しづつ変化します。



さて、前段が長くなりました。

今回ご紹介するのは、その「伏角」を計測するためのツール「伏角計」、英語では「Dip Needle」となります。

伏角を発見したのは16世紀イングランドの船員でありコンパス製作者である「Robert Norman/ロバート・ノーマン」といわれています。彼が1581年に発行した説明書である「The Newe Attractive」で有名であり、そこに「地磁気の伏角」が触れられていることから、彼を発見者とすることが多いようです。また一方で磁気の傾きは以前から知られており、体系的まとめられたのは彼の説明書がはじめである、という説もあるようです。


伏角計は、曇天で星や太陽が見えなくても、伏角がわかれば緯度を知ることが出来る為、航海術に欠かせない物となっていきました。



今回ご紹介する伏角計は、英国ヴィクトリア時代のお品物。

ベース部分わずか5.7cm直径という小型なタイプで、そこから2本の柱が直立し、間に針と目盛りが挟まっています。針の左右にはネジがあり、締めると針はとまり、緩めるとフリーになって地磁気を計測いたします。ベース部分にも目盛りがあり、動くようになっております。

正直、使い方がいまひとつよくわからないのですが、とりあえず北に向けて針をフリーにしてみると、55-60度あたりを指してとまります。(画像は北向きに置いていない状態のものですので数値は異なります)


先ほどの国土地理院の2020年の東京の伏角が49度ですので、少々ずれてしまっているようです。これが単に古いせいで機能が弱っているのか、150年ほど前の品物だから合わないのか、は正直よくわかりません。


ただ、必要とされる機能をギリギリまで削ぎおとしたフォルムは最高に美しく、さらにそこで読み取られてきた数値がどれほどに人々の役に立ってきたかを想うと、限りない尊さを感じるのは、私だけではないはずです。


デスクトップに飾って眺めれば、知的好奇心がくすぐれらる最高のデスクアクセサリーになることでしょう。

機能美がお好きで、探求心を忘れない貴方の為の、英国アンティークの稀有なひとしなです。



◆England
◆推定製造年代:c.1850-1880年代頃
◆素材:真鍮
◆サイズ:土台直径約5.7cm 針以外の本体高さ約9.9cm
◆重量:132g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*精密な観測にはお勧めいたしません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques
by d+A