英国アンティーク、バイロン詩集。
イングランドの詩人といえば、ロード・バイロン(バイロン卿)。
第6代バイロン男爵ジョージ・ゴードン・バイロン/George Gordon Byron, 6th Baron Byron(1788-1824)は、ゲーテが「今世紀最大の天才」と賞賛した19世紀ロマン派の詩人です。
彼の足跡を少しだけご説明いたします。
1788年ロンドンに生まれ、2歳の時にスコットランドのアバディーンに移住。10歳で無き祖父の跡を継ぐためにノッティンガムに移り、第6代バイロン男爵となります。
その後ロンドンでハーロー校へ、その後ケンブリッジ大学にすすむも、ほとんど大学には行かなかったとか。
1807年から詩集を出版、その後グランドツアーに出掛け、その成果として1812年「チャイルド・ハロルドの巡礼」を出版。生の倦怠と憧憬を謡った詩風と異国情緒が時代に受け入れられ、大評判となります。
その後社交界の寵児として乱れた生活をおくり、結婚するもすぐに別居し、スイスやイタリアなどを巡りつつ作品を執筆。
多くの作品の中で、この時代に書かれた「ドン・ジュアン」(1819-1824)が有名で、特に作品中の「事実は小説よりも奇なり/Truth is stranger than fiction.)は誰もが耳にしたことのある言葉となっています。
1823年にはギリシア独立戦争へ参加するも、熱病により同地でなくなります。わずか36年の生涯でした。
さて、こうして改めてみるとなんと奇妙で奔放な生涯であることでしょう。イングランドの一地方で生まれ育ち、親の跡を継いで真面目に暮らしていくであろう多くの英国人にとっては、さぞ魅力的に感じるであろうことも想像に難くありません。
今まで当店はバイロン詩集は数冊取り扱ってきましたが、どれもが他とは異なる特別豪華な装丁を施されていました。大切な本として手元に置き、日々流れる暮らしの中で、稀に開いて眺めてみる、いえ眺める必要がある、ということなのかもしれません。
今回ご紹介するバイロン詩集は赤いレザーにゴールドギルドのエンボスが麗しい格別凝った装丁です。表表紙、裏表紙に等しくデザインがされており、小口はゴールドギルドで、表紙の厚み部分にさえ小さなパターンが回されています。表紙のデザインモチーフは竪琴で、吟遊詩人をイメージしているかのようです。
出版社は以下の通り。
EDINBURGH GALL & INGLIS 6 George Street
「GALL & INGLIS/ガル・アンド・イングリス」とは、スコットランド・エディンバラの出版社のこと。活動年ははっきりしませんが、スコットランド出身の聖職者、地図製作者、出版者、彫刻家、天文学者、作家である「James Gall/ジェームズ・ガル(1808-1895)」の会社であり、彼の父親の「James Gall」(同じ名前ですね)が「Ann Collie」と共に設立した会社と思われます。
ガル・アンド・イングリスはバイロン卿の「The Poetical Works of Load Byron」を何度か出版しており、古い物で1860年代からありますので、今回の本は1860-1880年代頃までの品物と推測いたします。
19世紀の吟遊詩人、バイロン卿。
赤い背景に浮かぶ金の竪琴をなぞりつつ、そっと表紙を開き、彼の世界を堪能してみてはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1860-1880年頃
◆素材:革・紙
◆サイズ:約12×17.5cm 厚み約4cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:497g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、紙の破れや折れ、変色や書き込み等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A