英国買付アンティーク、ゴブラン織のタペストリー。
英国の大きなアンティークフェア。
明るいブロンドの品の良いレディから、数個の小物を買い、ストールを後にしようと思ったときに、ふと目に留まったタペストリーのご紹介です。
全体にとても美しいファブリックが目の端に引っかかり、思わず足をとめて聞いてしまいました。
「素敵なゴブランですね」
「そう、フランスかベルギーのもの。多分30年代くらいかしら。とても良い物ですよ」
よくよく見ればパターンも美しく、コンデョションも良好。なによりモチーフに魅かれて、手に入れて仕舞いました。
森の中のせせらぎ。中ほどに立派な角をもつ牡鹿が鳴き声をあげています。取り囲むのは猟犬達。右手には白馬に乗ったレディが超然と様子をうかがっております。その奥には縄を持つ男性。さらに奥には水車小屋もみえます。
一見すると穏やかな森の風景の様ですが、実は緊張感のある「Deer Hunting/鹿狩り」モチーフとなっています。全体の色使いが素晴らしく、手前のやや青み掛かった草地と、木々の緑、そして遠景は霞がかったような柔らかな色合いが、トータルとして奥行きのある臨場感を伝えています。
さて、少しだけ、タペストリーとゴブランについてご説明いたします。
タペストリーとは主として壁に掛ける織物のこと。
起源は古代エジプトで、ヨーロッパには11世紀に十字軍が手織り絨毯を持ち帰ったのが、タペストリーの始まりとされます。14世紀頃からドイツ、スイスで盛んに製造され、フランス、ベルギー、オランダのフランドル地方に生産地は広がっていきました。タペストリーは建築装飾として、聖堂やお城などの壁面を飾っていくこととなります。
そして、ゴブラン織とは、もともとはフランスのゴブラン工場(Manufacture des Gobelins)で製作されたタペストリーのこと。(ゴブランとは地名であり、人名)
経糸に丈夫な麻や木綿、緯糸に甘撚りの毛糸(羊毛)や絹などを使うことが多く、基本的には平織が主体であり、緯糸に多くの色糸が使えるため、色数の多い絵画や文様などのデザインを織ることができるのが特徴です。日本語ではつづれ織りとされます。織り方として凹凸が少なく、汚れが落としやすいため、壁に掛けるタペストリーに最適とされ、現代では「タペストリー=ゴブラン織」としてとらえられることも珍しくはありません。
まずは正統派として、壁掛けに。横に長く、高さが70cm強ですので、窓の上やカウンター上の下がり壁などにも良いかもしれません。
壁に掛ければ、そこにはヨーロッパの鹿狩りの風景が広がります。
フランドル地方から来た、柔らかだけども力強い、アンティークファブリックの佳品を是非ご鑑賞ください。
◆英国買付/BelgumもしくはFrance
◆推定製造年代:c.1930年代頃
◆素材:おそらくウールと麻もしくは綿
◆サイズ:幅約172cm 高さ約71.5cm
◆重量:605g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に汚れやわずかなホツレ等がありますが、全体としてはとても良いコンディションです。
*周囲はミシンで縫われています。
*詳細は画像にてご確認ください。
*たたんで保管しており、たたんだ状態で発送します。多少のたたみ跡がついた状態でお手元につきますことをお許しください。
*低温当て布をしたスチームアイロンや、霧吹きなどを使用することでたたみ跡は目立たなくなります。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A