英国アンティーク、携帯用かぎ針。
小さいながらも凝った仕様の、ヴィクトリアンのクラフトツールのご紹介です。
長さ8cm強のほぼフラットなヘラ状の金属。細かな装飾が施されており、センターに細い棒が配されています。ポイントとなっているゴールドカラーの花モチーフをスライドさせると、細いかぎ針が現れます。
これは携帯用のCrochet Hook。
「Crochet/クロチェット」とはかぎ針編みのこと。「Crochet Hook」とはかぎ針そのものを指します。
スライド式で針先がでてきた針は、いっぱいまで伸ばすと安定します。一方で、縮めているときには、少し針先がでてきてしまうので、なにかに仕舞って携帯していたと思われます。「W.D PATENT」の文字が刻まれており、詳細は不明ですが、意匠登録をするほどの自信作だったのかもしれません。
ヨーロッパの編み物の歴史を少しだけ見てみましょう。
ヨーロッパで編み物が登場するのは15世紀に入ってからといわれています。編み物業者はギルドをつくり、羊毛と絹で、くつ下やペチコート、手袋などを生産しました。この頃はほぼ男性の仕事で、女性は編むための糸を作る役割だったようです。16世紀に編み機が発明され、19世紀にさらに機械化が進むとギルドは消滅し産業としての手編みは衰退します。ただ、家庭では女性による手編みは継承され、多くの地方では家内工業として編みの仕事は残っていきました。
そんな背景から、ヴィクトリア時代に編み物をしていたのはほぼ女性で、家庭のなかで趣味として行っていたか、もしくは内職として行っていたと思われます。
この携帯用かぎ針の凝った仕様からみるに、恐らくは生活に余裕がある奥様の持ち物だったのではないでしょうか。家用ではなく、出かけた時...例えば汽車(英国の鉄道は1825年から)のなかや、汽車や馬車を待っている時など、手が空いたときにいつでも出来るように、糸と共に持っていたのかもしれません。かなり細い針ですので、細い糸を緻密に編んでいく女性の姿が目に浮かびます。
ヴィクトリアンの編み手の指使いが感じられるような、優雅で華奢な英国アンティークの小さな佳品です。
◆England
◆推定製造年代:c.1850-1880年代頃
◆素材:金属
◆サイズ:長さ約8.3-12.2cm 幅約1.5cm 厚み約0.2cm
◆重量:5g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A