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Friday

毛糸玉と猫と / Antique Cold Painted Vienna Bronze Cat by Bergmann

 オーストリアアンティーク、ヴィエナブロンズの猫。















全長約7cm弱。こぶりながらも驚くほどの重厚感をもつ、小さなブロンズ彫刻のご紹介です。


当店で何度かご紹介している「Vienna Bronze/ヴィエナブロンズ」。


その歴史は19世紀中頃から始まり、現在に至るまで高級品として高く評価されており、展示や蒐集を目的とした貴族や富裕層に向けて販売されてきました。サイズは、小さな1インチのミニチュアからテーブルランプやセンターピースと同じくらいの大きさまで様々です。モチーフは、漫画や風刺画を題材としたものや、実物そっくりにありのままの姿を詳細に表現したミニチュア化された人物や動物もあれば、エロティシズムを表現したもの、擬人化されたペットや森林動物なども多く、特に猫、カエル、犬の作品はウィーンの名物となっています。

1つのブロンズのフィギュアは、多くの場合「砂の鋳造/sand casting」と呼ばれる方法によってパーツごとに鋳造され、それらを溶接して一体化、毛並みや顔立ち等を彫刻し、髭など細部まで手を加えて、画家に引き渡されます。

その一連のプロセスには、多大な労力と高度に熟練した職人の技術が必要とされ、特にコールドペイントによる着色作業は、重要な要素となる表面仕上げとなり、全てが手作業によって、テクスチャーが与えられ、細部に至るまでシャープに整えられます。コールドペイントは、当初は鉛ベースの塗料で行われていましたが、健康上のリスクがあるため、20世紀の変わり目には、油性顔料のエナメル塗料が使われています。



今回ご紹介する猫は、そのヴィエナブロンス、しかもベルクマン工房のマークが入った逸品です。


ベルクマン工房についてのご紹介を少しだけ。


1860年にチェコからウィーンに来た「フランツ・ベルクマン・シニア/Franz Bergmann senior(1861-1936)」は小さなブロンズ工房を設立しました。20世紀の変わり目には、ウィーンはブロンズブームとなり、跡を継いだ息子の「フランツ・ザヴェル・ベルクマン/Franz Xaver Bergmann」は、その先駆者として1900年にさらに新しい工房をオープン。


20世紀初頭のウィーンには50近くのメーカーが存在しており、ベルクマンは当時最もよく知られていた工房でした。ウィーンの多くのブロンズメーカーがそうであったように、作品には作家名を示すマークまたは署名などが印されていないことが多かったそうです。そのため、ベルクマン工房の作品もマークが無いものも多いのですが、あるものは「壺のフォルムの中にBのイニシアル」がついていました。

ベルクマン工房は、1930年代に起こった大恐慌のため閉鎖に追い込まれましたが、数年後、息子の「ロバート・ベルクマン/Robert Bergmann」によって再開され、「カール&イルゼ・フールマン/Karl & Ilse Fuhrmann」が、1960年に残りのベルクマンモデルをすべて購入するまで営業を続けました。



今回のお品物は、前述の「壺のフォルムの中にBのイニシアル」が底面に刻まれています。


足元の毛糸玉にじゃれつく猫。しなやかな体躯と良く表現された毛並み、そしてよくみれば肉球のぷっくりしたピンク色まで確認できます。

またヴィエナブロンスの猫は鋭いほどの髭がついたものが多いのですが、この猫には髭はございません。それはおそらく、この猫が比較的大きめであることから、髭を再現してもかえって見栄えがよくないから敢えてつけなかったのかな、などと推測いたします。

硬い金属で出来ていることを忘れさせるほどの、しなやかな体の表現には見惚れるばかりです。


ウィーンの歴史ある工房が造り出した、小さな猫を一匹いかがでしょう。いつまでも無邪気に毛糸玉と戯れる美しい動物は、貴方に寛ぎのひとときを与えてくれることでしょう。





◆Austria Vienna(Wien)

◆推定製造年:c.1900~1930年代頃

◆素材:真鍮(ブロンズ)

◆サイズ:幅約6.8cm 奥行約5.2cm 高さ約2.7㎝

◆重量:238g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、塗装の剥がれや変色などがみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A