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実用を兼ねた迫力の銀細工/ Antique Silver Handle Magnifying Glass Birminghum 1908

 英国アンティーク、シルバーハンドルの拡大鏡。
















使い始めてみるともう手放せないツールのひとつ、拡大鏡。それがアンティークの、しかも銀製品であることは、美しさと機能性そしてクオリティのすべてを満足させるひとつの究極であることは間違いありません。


今回ご紹介する拡大鏡は、全体長さが約16cm弱と、当店がご紹介してきた拡大鏡の中ではおおぶりなサイズ。ふっくらと重量感のあるホタテ貝がエンド部分に鎮座し、周囲をアカンサスリーフとスクロールが飾る、いかにも古典主義な意匠をもつひとしなです。


さて、英国アンティーク・シルバーにはホールマークを読み解く愉しみがつきものですが、この拡大鏡にも、持ち手の中央部あたりに数個のホールマークをみることができます。イカリのマーク、ライオンパサント、そしてシールドに小文字の「i」。これはバーミンガムのアセイオフィスで1908年に認可を受けたスターリングシルバーであることを表しています。


メーカーズマークは「C&N」。これはバーミンガムにおいては「Crisford Norris /クリスフォード・ノリス」となります。

バーミンガムの「Vyse Street/ビースストリート」で1896年から1976年年頃まで活動しており、ピンクッションやナプキンリング、トロフィーなどの嗜好性の高い小物を製造していたシルバースミスです。


調べてみればビースストリートはバーミンガム中心部の北西に現存しており、そのあたりは「Jewellery Quarter/ジュエリークォーター」と呼ばれる地域です。18世紀から19世紀にかけて、バーミンガムは産業革命により繁栄し、さまざまな金属から幅広い製品を製造する大規模な工業都市に発展してきました。その中でもジュエリー・クォーターは特別な場所。名前の通り「ジュエリー」を生業とする工房や会社が軒を連ねる場所となっています。


1780年に登録された情報によれば、この地には当時26軒の宝石商があり、その後約300年間、英国においてのジュエリーの中心地として名を馳せてきました。そのなかでも1900-1920年頃がジュエリー・クォーターの全盛期と考えられており、その後世界恐慌や第二次大戦の空爆などでダメージをうけてしまいます。


ただ、現在でもさまざまなアクセサリーを製作する工房をはじめ、宝石や関連道具、材料屋さんなど、宝石関連企業が集積しており、僅か1k㎡あまりの土地に現在でも800社を超える企業、100社の専門小売店、50社の現代デザイナーメーカーが集い、今もなお英国のジュエリーの中心地となっています。そして多くの工房が19世紀の外観を保っているため、それ自体が観光名所となっており、再開発がすすめられているようです。



参考:ジュエリー・クォーター

https://www.birmingham-jewellery-quarter.net/



ヴィクトリアン後期からエドワーディアンをまたぎ、戦後まで活躍したシルバースミスによる細工は立体的で美しく、時を経た質感をもって見る者の心に迫ります。


全体長さが約16cm弱と、当店がご紹介してきた拡大鏡の中ではおおぶりなサイズですので、持ちやすく使いやすく、デスクのお供に最適といえるでしょう。なお、レンズ部分は後年に付け替えられたものであると思われます。


ヨーロッパで愛されてきたクラシカルなモチーフを配したシルバーアイテムは、持つことに悦びを感じ、使う度に優雅な気持ちを持っていただけることと思います。実用的な英国アンティークのひと品はいかがでしょうか。




◆England

◆Crisford Norris

◆推定製造年:c.1908年

◆素材:スターリングシルバー、ガラス、金属

◆サイズ:全長約15.6㎝ レンズ部分直径約5cm

◆重量:44g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れ、材の細かな割れ、凹み等がみられますが、ガラス部分に目立つ傷はございません。

*レンズ部分は後年に付け替えられたものと思われます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A


小さな愉しみを仕舞おう/ Vintage Silver & Onyx Pendant Bag Shape

 英国ヴィンテージ、シルバーとオニキスのペンダント。


















英国南部の競馬場で行われていたアンティークフェアで手に入れたペンダントのご紹介です。

比較的ロンドンから近いせいか、とても賑やかで、家具などの大物をはじめアクセサリー類も充実したフェアは時間が合えばぜひ訪れたい場所です。ストールも多く、一生懸命回るとヘロヘロになりお腹がすきますが、サンドイッチもコーヒーも田舎に比べればロンドン価格でびっくりするので、可能ならばぜひお弁当を持っていくことをお勧めいたします。


そんな場所でカジュアルな服装の金髪のお姉さんから買い付けたペンダント。


珍しいのはなんといってもこのデザイン。小さな小さなバッグの形をしていて、きちんと開閉するのが特徴です。バッグはアールデコ調の飾りが施されていて、シルバーをベースにマーカサイトが効果的に配されています。口金部分にはポイントでオニキスが入っているのもニクイ演出。


背面はシルバーの透かし彫り。小さいので1円玉はもちろん1ペニー硬貨すら入りませんが、例えばポプリを入れたり、小さな布にアロマオイルを染みこませて秘かに香りを楽しむことはできそうです。ロケット代わりに大切な人の写真をいれるのもよろしいかもしれません。


背面には「925」の刻印、隣には「Ω」の刻印。この「Ω」は、1975年以降の輸入品で、輸入後にシェフィールドのアセイオフィスで認可を受けた印となります。産地は不明ですが、何となくイタリアあたりかな、と推測いたします。「925」の右側にもデイトレターらしき刻印や、少し離れた場所にも刻印があるのですが、小さすぎて判読はできませんでした。



アクセサリーなどに、特に何を入れるのでもないのに、収納部があると何故か嬉しくなってしまうのは私だけでしょうか。時に意味もなく開閉してみたり、入れられるものを探してみたり。


優雅で小粋なデザインに、ちょっとしたお愉しみがついてくるヴィンテージアクセサリー。

貴方の装いのワンポイントにいかがでしょうか。



◆England買付

◆推定製造年代:c.1975年以降

◆素材:スターリングシルバー(シルバー925)、オニキス

◆バッグのみのサイズ:高さ約2.7cm 幅約3.5cm 厚み約0.6cm

◆ペンダント全長:約66cm

◆総重量:15g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、ゆがみなどがみられます。

*留め具はきちんと動作します。

*チェーンには途中で大きめの丸環があり、通常は2つの長さにできるものかと思いますが、取り付け方を間違えたのか特に機能しません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


オークフレームの舞台裏 / Antique Oak Frame

 英国アンティーク、オーク材のフレーム。

















英国の小さな街にあるアンティークショップ。


そこはアンティークフェアで知り合った紳士のお店で、門構えは小さいながらも奥に行くほどに広がっている、英国あるあるな構造となっていました。奥に行く狭い廊下には沢山のフレームが掛かっており、古いフレーム好きには夢のような空間。そこから何点か手に入れたうちのひとつのご紹介です。



存在感溢れる木製フレーム。材はオーク、なかには紙製のゴールド色のマットがついています。

オークの木目を楽しめる比較的シンプルなつくりで、裏を返せば歳月を経てきた木と紙の質感に溢れており、100年は優に超えた迫力をみせています。


また、紙製のマットには背面に文字が入った部分があり「via... TO CANADA AUSTRALIA NEWZEALAND」(どこもかつては英国の植民地でした)および「TELEPHONE SERVICE」などと読めます。このフレームと直接の関係はないように思いますが、過去に行った額装の名残かな、と思うと、なんだか不思議な舞台裏をみたような気持になります。


横位置で掛けられる吊り金具がついておりますが、紐はございません。とりあえずこの状態でのご紹介とさせていただきます。


このままディスプレイしていただいても。お気に入りのアートをいれて額装していただいても。


材の持つ力と時を経てきた存在感が格別な、英国アンティークフレームをご堪能ください。




◆England

◆推定製造年代:c.1900年代頃

◆素材:木(オーク)、紙、金属

◆サイズ(外寸):幅約28.6cm 高さ約21.2cm 厚み約2.4cm

◆窓部分サイズ:約16.8×12cm

◆総重量:312g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み、材のワレやアタリ等がみられます。

*直角が出ていない部分もございます。

*水平面に平らに置くと少しカタつきます。

*ガラスは嵌まっておりません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




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Todd Lowrey Antiques

by d+A


甘えん坊の小さなギター弾き/ Antique Cold Painted Vienna Bronze

 オーストリアアンティーク、ヴィエナブロンズの犬。















当店で何度かご紹介している「Vienna Bronze/ヴィエナブロンズ」。


その歴史は19世紀中頃から始まり、現在に至るまで高級品として高く評価されており、展示や蒐集を目的とした貴族や富裕層に向けて販売されてきました。サイズは、小さな1インチのミニチュアからテーブルランプやセンターピースと同じくらいの大きさまで様々です。モチーフは、漫画や風刺画を題材としたものや、実物そっくりにありのままの姿を詳細に表現したミニチュア化された人物や動物もあれば、エロティシズムを表現したもの、擬人化されたペットや森林動物なども多く、特に猫、カエル、犬の作品はウィーンの名物となっています。


1つのブロンズのフィギュアは、多くの場合「砂の鋳造/sand casting」と呼ばれる方法によってパーツごとに鋳造され、それらを溶接して一体化、毛並みや顔立ち等を彫刻し、髭など細部まで手を加えて、画家に引き渡されます。


その一連のプロセスには、多大な労力と高度に熟練した職人の技術が必要とされ、特にコールドペイントによる着色作業は、重要な要素となる表面仕上げとなり、全てが手作業によって、テクスチャーが与えられ、細部に至るまでシャープに整えられます。コールドペイントは、当初は鉛ベースの塗料で行われていましたが、健康上のリスクがあるため、20世紀の変わり目には、油性顔料のエナメル塗料が使われています。





今回ご紹介するお品物は、英国のアンティークフェアで手に入れたヴィエナブロンズです。屋外の芝生の上、黒いブルドッグとともにのんびり出店していた親父殿から譲っていただきました。

親父殿のブースはかなり自由な感じで散らかっていましたが、一番奥、親父殿が犬を従えて陣取っている真ん前だけは、ガラスケースに入った質の良いものが並んでいました。そこでひときわ目を惹いたのが、このギターをかかえた犬。犬種はパグと思われます。


現存する中で最古の犬種の1つといわれるパグ。原産はチベットという説が有力です。英語ではそのまま「pug」ですが、ドイツではしかめ面を意味する「モプス/Mops」とよばれるなど、各国で少しづつ呼び名は異なります。


英語のパグという名前の由来には諸説ありますが、現時点では以下の3つの説が有力とされています。

1,ラテン語でこぶしを意味する「パグナス」を語源とする説。

くしゃくしゃのパグの顔が人間の握り拳に似ていることから、こう呼ばれるようになり、次第に現在の「パグ」に変化していったと言われています。


2,「マーモセット」という猿の一種に似ていることから名付けられたという説。

パグとマーモセットの表情が似ていることから、マーモセットの通称である「パグ・モンキー」のパグと呼ばれるようになったと言われています。


3,中国の言葉「覇歌(パー・クー)」から名付けられたという説。

「覇歌(パー・クー)」とは、いびきをかいて眠る王様を意味する言葉で、チベット原産説があることを考えると信憑性は高いかもしれません。



そんなパグの性格は陽気で明るく、愛情深くて人懐っこいのが特徴。

少々甘えん坊でさみしがり屋、そして頑固な一面ももちますが、基本的には人が大好きな可愛い奴、といえます。個人的好みですが、漫画「宇宙兄弟」のAPOもそんな感じだよな・・・と、このパグを見ながら嬉しくなってしまいました。


また、今回ご紹介しているヴィエナブロンズのパグは、おしりのあたりに丸い刻印がみられます。工房名は特定できませんでしたが、販売していた親父殿からの情報により、1930年代頃のものかと思われますので、そのようにご紹介させていただきます。



ギターを抱えたパグは、一生懸命にのけぞってギターを奏でているように見えます。つぶらな瞳は誰を見上げているのでしょうか。


小さな小さな甘えん坊のギター弾き。おそばに置いて、耳を傾けてあげてはいかがでしょうか。




◆England買付/Austria(Wien)

◆推定製造年代:c.1930年代頃

◆素材:ブロンズ

◆サイズ:高さ約4.2cm 

◆重量:33g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、塗装のはげや変色等がみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A