英国アンティーク、ハントレー&パーマーズの本型ビスケット缶。
ハントレー&パーマーズ、ご存じでしょうか。
英国の老舗ビスケットメーカーで、コレクタブルな缶で有名な会社です。
歴史を少しだけご紹介いたします。始まりはロンドンの西、テムズ川とケネット川というふたつの川に挟まれた「レディング/Reading」の街。中世では毛織物産業で大きくなった場所です。
1822年、レディングのロンドンストリート119番地に「Joseph Huntley/ジョセフ・ハントリー」によって小さなベーカリー兼菓子店が作られたのが「ハントリー&パーマーズ/HUNTLEY & PALMERS」の始まりです。当初の名前は「J. Huntley & Son」として設立されました。店の向かいにあるクラウン・インは駅馬車の停車地であり、ジョセフ・ハントリーは馬車に乗っている旅行者にビスケットを売り始めました。馬車の旅ではビスケットが壊れやすいので、彼はビスケットを金属の缶に入れて売ることを思いつきます。
ここからが躍進の始まりです。
1838年にはジョセフは引退し、息子のトーマスが事業を引き継ぎます。そして従弟のジョージ・パーマーが経営に加わり、名称はハントリー&パーマーズとなります。彼らは英国王室ご用達のビスケットメーカーとなり、1865年にはヨーロッパ大陸にも進出します。最盛期には 5,000人以上を雇用し、1900年頃には世界最大のビスケット会社になりました。このため、レディングの街は大いに潤い、ビスケットタウンと呼ばれるほどだったとか。
彼らの成功を後押しした大きな理由のひとつが、地元で生産され、美しく精巧に装飾されたビスケット缶でした。様々にデザインされた缶は単なる容器を超え、美術的、コレクション的価値をもち、世界中の人々を大いに魅了しました。1900年には、ハントレー&パーマーズのビスケットは 172か国で販売されていたといいます。
ちなみに、同社のレディングでの製造は1976年に終了し、その後他社への売却などを経て、現在ではサフォーク州のサドベリーにて営業を続けています。
ハントレー&パーマーズ オフィシャルサイト
https://www.huntleyandpalmers.com/
今回ご紹介するのは、そのハントレー&パーマーズのビスケット缶のなかでも名作といわれているひとしなです。
一見すると8冊の本をバンドで束ねたフォルム。これが一塊になっており、上部がパカリと開くようになっています。本の表現やバンドは立体的で、とてもよく出来たデザイン、そして造りであると思います。
このシリーズはとても評判が良かったらしく、1924年までに数種類のバリエーションが販売され、なんと650000個の売り上げを記録したそうです。
レディング博物館にハントレー&パーマーズのコレクションサイトがあり、そこにこの缶の仲間も掲載されていましたのでよろしければご覧ください。
The HUNTLEY & PALMERS Collection
「Printing Huntley & Palmers' tins」の頁 上から三番目
今回ご紹介するお品物の品名は「literature/文学」、発売は1903年となります。
長い間ディスプレイされていたのでしょう、背表紙と上部はそれなりに退色や傷みがみられます。ただ、歳月を経た缶の表情はダークで侘びた色合いとなり「お菓子の缶」からどこか芸術作品めいた香りさえ漂うようです。
蓋の開閉はスムーズで、押し込めばきちんと閉まります。底面と背面は当初の色味がよく残っており、底面には以下の文字をみることができます。
HUNTLEY & PALMERS BISCUITS
READING & LONDON
ビスケットを楽しんだ後は、小物入れとして本棚へ。
どれほどの人々がそんな風にしてこの缶を愛してきたのでしょうか。
英国ビスケット缶の名作を是非あなたのお手元でご鑑賞ください。
◆England
◆HUNTLEY & PALMERS
◆推定製造年代:c.1903年
◆素材:金属
◆サイズ:幅約16.2cm 奥行き約12.3cm 高さ約16.2cm(+つまみ)
◆サイズ内寸:約15.8×10.5cm(開口部サイズなのであと数ミリ大きなものが入ります) 深さ約14.8cm
◆重量:448g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み、塗装の剥がれ等がみられます。
*開閉はスムーズです。蓋はしっかりと安定して閉まります。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A