オーストリアアンティーク、ヴィエナブロンズの犬。
当店で何度かご紹介している「Vienna Bronze/ヴィエナブロンズ」。
その歴史は19世紀中頃から始まり、現在に至るまで高級品として高く評価されており、展示や蒐集を目的とした貴族や富裕層に向けて販売されてきました。サイズは、小さな1インチのミニチュアからテーブルランプやセンターピースと同じくらいの大きさまで様々です。モチーフは、漫画や風刺画を題材としたものや、実物そっくりにありのままの姿を詳細に表現したミニチュア化された人物や動物もあれば、エロティシズムを表現したもの、擬人化されたペットや森林動物なども多く、特に猫、カエル、犬の作品はウィーンの名物となっています。
1つのブロンズのフィギュアは、多くの場合「砂の鋳造/sand casting」と呼ばれる方法によってパーツごとに鋳造され、それらを溶接して一体化、毛並みや顔立ち等を彫刻し、髭など細部まで手を加えて、画家に引き渡されます。
その一連のプロセスには、多大な労力と高度に熟練した職人の技術が必要とされ、特にコールドペイントによる着色作業は、重要な要素となる表面仕上げとなり、全てが手作業によって、テクスチャーが与えられ、細部に至るまでシャープに整えられます。コールドペイントは、当初は鉛ベースの塗料で行われていましたが、健康上のリスクがあるため、20世紀の変わり目には、油性顔料のエナメル塗料が使われています。
今回ご紹介するお品物は、英国のアンティークフェアで手に入れたヴィエナブロンズです。屋外の芝生の上、黒いブルドッグとともにのんびり出店していた親父殿から譲っていただきました。
親父殿のブースはかなり自由な感じで散らかっていましたが、一番奥、親父殿が犬を従えて陣取っている真ん前だけは、ガラスケースに入った質の良いものが並んでいました。そこでひときわ目を惹いたのが、このギターをかかえた犬。犬種はパグと思われます。
現存する中で最古の犬種の1つといわれるパグ。原産はチベットという説が有力です。英語ではそのまま「pug」ですが、ドイツではしかめ面を意味する「モプス/Mops」とよばれるなど、各国で少しづつ呼び名は異なります。
英語のパグという名前の由来には諸説ありますが、現時点では以下の3つの説が有力とされています。
1,ラテン語でこぶしを意味する「パグナス」を語源とする説。
くしゃくしゃのパグの顔が人間の握り拳に似ていることから、こう呼ばれるようになり、次第に現在の「パグ」に変化していったと言われています。
2,「マーモセット」という猿の一種に似ていることから名付けられたという説。
パグとマーモセットの表情が似ていることから、マーモセットの通称である「パグ・モンキー」のパグと呼ばれるようになったと言われています。
3,中国の言葉「覇歌(パー・クー)」から名付けられたという説。
「覇歌(パー・クー)」とは、いびきをかいて眠る王様を意味する言葉で、チベット原産説があることを考えると信憑性は高いかもしれません。
そんなパグの性格は陽気で明るく、愛情深くて人懐っこいのが特徴。
少々甘えん坊でさみしがり屋、そして頑固な一面ももちますが、基本的には人が大好きな可愛い奴、といえます。個人的好みですが、漫画「宇宙兄弟」のAPOもそんな感じだよな・・・と、このパグを見ながら嬉しくなってしまいました。
また、今回ご紹介しているヴィエナブロンズのパグは、おしりのあたりに丸い刻印がみられます。工房名は特定できませんでしたが、販売していた親父殿からの情報により、1930年代頃のものかと思われますので、そのようにご紹介させていただきます。
ギターを抱えたパグは、一生懸命にのけぞってギターを奏でているように見えます。つぶらな瞳は誰を見上げているのでしょうか。
小さな小さな甘えん坊のギター弾き。おそばに置いて、耳を傾けてあげてはいかがでしょうか。
◆England買付/Austria(Wien)
◆推定製造年代:c.1930年代頃
◆素材:ブロンズ
◆サイズ:高さ約4.2cm
◆重量:33g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、塗装のはげや変色等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A