1920年代、ロンドン・デイリーズシアターで演じられていたオペラの楽譜。
Daly's Theatre/デイリーズシアターとは、ロンドン中心部、Leicester Square/レスター・スクウェア近くにあった劇場のこと。
3階席まであり、1200席を誇った劇場で、イタリアのルネッサンス様式とネオクラシカル様式を用いたファサードは豪華で、ロンドンの多くの劇場の中でも秀でた美しさだったといいます。オープンは1893年。1937年には閉鎖されていますので、45年弱の間の営業でした。
今回ご紹介するのは、そのデイリーズシアターにて上演されていたオペラ「The Lady of the Rose」の楽譜。表紙が紛失してしまっておりますので、詳細は不明ですが、1頁めのタイトルは以下のようになっています。
The Rady of the Rose
The Successful Play at Daily's Theatre
上部にはあらすじと思われる文章があり、その下には曲名と楽譜がレイアウトされています。後半には長い数曲の楽譜がはいり、巻末には広告が掲載されています。
そして、最終ページには「Decameron Nights」の広告。
フィレンツェの詩人、ジョヴァンニ・ボッカッチョが15世紀に発表した「デカメロン」はギリシャ語の「10日/deka hemerai」に由来し、「十日物語」とも訳されるように、10人の男女が10日間にわたってそれぞれ1話ずつ、計100話をはなす、という趣向の物語集。
そんなデカメロンから数話をピックアップして1924年に製作されたのが「デカメロン・ナイト」という映画。当時はまだサイレントでしたので、この広告はその上映中に演奏される音楽の宣伝かもしれません。
”The Rady of the Rose”の上演時期はわかりませんが、広告に1922年とはいったものがあり、デカメロンナイトの広告もあるため、この楽譜自体は1924年頃のものと考えてよさそうです。
時はジョージ五世の治世。
女性はコルセットから解放され、ココシャネルが提案するファッションに夢中になった時代。文学ではヴァージニア・ウルフ、ジャン・コクトー、アガサ・クリスティが活躍し、近代化の波が生活すべてに押し寄せてきた時代。
そんな時につくられたこの楽譜を手に入れたのは、オペラをみた記念にだったのでしょうか。それとも、いつか見ることを夢見て、せめて楽譜だけでも、と手に入れてみた?
華やかなロンドン中心地、レスター・スクウェアのざわめきと劇場からの歌声が、時を超えて聴こえてくるような、ストーリーを感じさせる1冊です。
◆England
◆推定製造年代:c.1920年代
◆素材:紙
◆サイズ:幅約21cm 高さ約29cm
◆28ページ+広告
◆重量:103g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、破れや折れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A