英国アンティーク、フォトトリミングデスク。
英国の大きなアンティークセンター。
行けども行けども現れる空間と凄い物量のアンティークス達に取り囲まれながら、アンテナを立てて自分の波長に合うものを見つけ出す、まさにトレジャーハンターとならざるを得ない体験ができる場所。
そのなかのショーケースのひとつに、気になるものを見つけました。
大きさはA4サイズよりも小さく、木製書見台のような感じ。でも本の受けは無く、代わりに上の方に桟が渡っていて、サイドには定規が取り付けられています。
アンティークセンターあるあるですが、ショーケースの中に入っている品物が欲しい時や、手に取ってみたい時は、センターのスタッフを呼んで鍵を開けてもらわなければいけません。何故あなたがここに・・・と思うくらい、いかつい男性スタッフが対応してくれ、手に取ってみることができました。
よく読めば「PHOTO TRIMMING DESK」の文字。不思議そうに見ていた男性スタッフも、ああ、と的を得た顔になって、斜めの部分をぎゅっと押してみてくれました。現れるのは恐ろしい見た目の斜めの刃。
「ここに写真を差し込んで、カットするんだろうねえ」と、どこか他人事のように説明してくれました。
天板の材は銘木マホガニー。底面部分は松系の材と思われます。少し斜めに張り出した脚の形状には、20世紀初頭に流行したアールデコの影響もみられます。
機能を持ちながらも、機械ともいえないようなアナログ装置は大好物。我慢できずに手に入れて仕舞いました。
スロープ部分には、少し読みにくいですが以下の文字が確認できます。
MERRETTS
PHOTO TRIMMING DESK
PLAGE PRINT PRESS DESK
WE DO ALL THE BEST
I(?) MERRETT
TROWBRIDGE WILTS
「Merrett and Company」とは、1910年代にイングランド、ウィルトシャー州トローブリッジにあった会社の事。詳細は不明ですがサイエンスミュージアムブループのサイトによれば「beveller」を作っていた会社、ということになります。
サイエンスミュージアムブループのサイト
Merrett and Companyの頁
https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/people/cp121622/merrett-and-company
Merrett Bevellerの頁
https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/objects/co8206163/merrett-beveller-beveller
「beveller」は現代日本語に置き換えるのが難しいのですが、「bevel」が「斜めに切る」「面取り」等という意味ですので、写真や絵などをトリミングしたりする器械のことなのかな、と思います。
試しに一般的なコピー用紙を差し込み、カットしてみたところ、びっくりするくらいきれいに切ることができました。動作状況を動画としましたのでよろしければご確認ください。
1910年代頃はまだまだカメラは高価で、写真も乾板の時代。もしも個人の趣味で写真を撮っていたならば、それはかなり贅沢な趣味だったといってよいでしょう。
このフォトトリミングデスクは、おそらくそんな裕福な趣味人の為のもの。高級材マホガニーを使い、見た目も美しく仕上げ、特別感を演出しているようです。
約100年前、とっておきのカメラで撮影した写真を現像し、仕上げとしてトリミングする・・・。わくわくするような趣味の世界を堪能する英国紳士の姿が目に浮かびます。
これからは、貴方のもとで。古艶を持つアナログな機器で、ご自身の世界を演出してください。
◆England
◆推定製造年代:c.1910-1930年代頃
◆素材:木(マホガニー)、金属
◆サイズ:幅約24.8cm 奥行約21.6cm 高さ約8.8cm
◆幅17.5cmまでの紙がカットできます。
◆重量:854g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*刃は鋭利です。お取り扱いには十分にご注意くださいますようお願い申し上げます
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A