フランスアンティーク、18世紀の古書。
ローマ数字、ご存じですよね。
身近なところでは時計の文字盤。有名なところではロンドンのビッグベンの時計文字盤(1859年建立)もローマ数字となっています。
ヨーロッパにおいて、アラビア数字より長い歴史を持つローマ数字。
ローマ数字は数種類の文字と組み合わせ方の単純な原理さえ覚えれば、大きな数も難なく表わすことができるという長所をもちヨーロッパで2000年以上にわたる伝統をもっています。
ヨーロッパでアラビア数字の使用が最初に確認されるのは976年のウィギラム写本においてとされますが、普及するのは13-14世紀頃で、ローマ時代以来ローマ数字が一般的に使用されてきました。またそれ以降も一部において使われ続けています。
ローマ数字は、順序や番号を表すのに用いられることが多いため、文字盤以外では本の章や節を表すのによく使われます。そして本の発行年にも使われることがあります。
前段が長くなりました。今回ご紹介する本に記された年号をみてみましょう。
M.DCC.XLII
これは「1742」の意味となります。
それを踏まえて、よく本を見てみましょう。革(おそらく材はヴェラム/子牛皮)の装丁、フルバインディングのこぶりな本。折丁を背バンドという支持体に固定するように綴じてあることで、本の背にこぶのように突起した部分が見られる古くからある手法です。背中のタイトルと飾りは箔押しで、みるほどに手作業の味わいが感じられます。
中表紙のタイトルは以下の通りです。
MEMORIES
DU MARECHAL
DE TOURVILLE
VICE-AMIRAL
DE FRANCE,
ET GENERAL
DES ARMEES NAVALES
RU ROY
A AMSTERDAM
Chez Francis GiRARDI
Imprimeur-Libraire
M.DCC.XLII
トゥールヴィル元帥
フランス中将
国王海軍将軍の回想録
AMSTERDAM
書店・プリンター
Francis GiRARDIにおいて
1742年
トゥールヴィル元帥とは「トゥールヴィル伯アンヌ・イラリオン・ド・コタンタン/Anne Hilarion de Costentin, comte de Tourville(1642-1701)」のことであり、ブルボン朝フランスの軍人。ルイ14世時代のフランス艦隊の司令官であり、1693年に元帥に授与された人物です。その人物の回顧録が綴られている本である、ということです。
「AMSTERDAM」の意味ははっきりとしませんが、18世紀フランスの書物の20%はアムステルダム、ジュネーヴなどで出版されていたともいいますので、おそらくオランダのアムステルダムを指すのかもしれません。
1742年といえば、フランスはルイ15世の時代。ポンパドゥール夫人がルイ15世の目にとまるのが1744年とされていますので、それ以前のものとなります。
いったいどんな人々が、この本を読んできたのでしょうか。当時本は大変高価な品物でしたので、王侯貴族やかなりな富裕層しか所有をすることはできなかったことでしょう。ちなみに先述のポンパドゥール夫人は当時の宮廷の女性としては珍しく大変な読書家だったそうですので、このようなタイプの本をたくさん読んでいたのかもしれません。
手に取ってページを繰れば、18世紀フランスの人々と繋がるような気がする、稀有な古書。貴方の書棚のマスコットとして如何でしょうか。
◆France(Amsterdam?)
◆推定製造年代:c.1742年
◆素材:紙、革
◆サイズ:約10×16.7cm 厚み約2.95cm
◆重量:270g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や破れ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A