英国アンティーク、スターリングシルバーのグリップをもつステッキ。
英国のアンティークフェアで手に入れた、ブラックシャフトにスターリングシルバーのグリップを持つステッキ。
英国のステッキとしては定番のカラーリングで、きりりと黒いシャフトとシルバーの対比が凛々しく、控えめな優雅さに満ちています。
細かな部分をよく見てみましょう。シャフト部分は木製ですが、ほぼ黒といえる色味に塗装されています。わずかに塗装の剥げがみられますが全体としては良いコンディションといえるでしょう。長さは約91cmと、英国のステッキとしては標準的なサイズであり、持てば重さ262gとやや重めで、ずっしりしっかりした印象です。
さらに目を惹くのは、スターリングシルバーのグリップ。トップにはモノグラム、サイド部分には美しいハンドカーヴィングが施されています。そして珍しいのは、サイド部分の断面が八角形をしていること。面は一つ飛ばしで唐草文様が施されているため、見る方向によって表情が変わる面白い趣向となっています。
古来日本において「八」はすべての方位や広がりを表す幸運の数字とされ、中国の風水でも八方位を表し、すべてのものから幸せの運気をもらえる形として重視されてきました。
ヨーロッパでは18世紀にシノワズリ/東洋趣味が流行したことで「八角形=オクタゴナル」の形が建築や家具、装飾のデザインに取り入れられるようになり、トーマス・チッペンデールが自身の家具のデザインに採用したことで、英国にも浸透していきました。建築はもちろんテーブルやミラーなどでもオクタゴナルはしばしば見られるフォルムであり、人々の生活に浸透していたことを伺わせます。
このシルバーのグリップは、握りやすい円形のトップの下に巧妙にオクタゴナルを仕込ませており、持つ人のこだわりが感じられる意匠となっています。
ホールマークを見てみましょう。
バーミンガムの錨、ライオンパサント、デイトレターはシールドにZとなっており、1924年にバーミンガムのアセイオフィスで認可を受けたスターリングシルバーであることがわかります。メーカーズマークは菱形の中に「J・H」で、これは「J Howell & Co Ltd」のものと思われます。
「J Howell & Co Ltd」は1900年代の初めころから1925年頃にかけて、ロンドン、オールドストリートに本拠を構え、パラソルやステッキ等を手掛けていたシルバースミスです。バーミンガムのマークを持つ品物もアンティーク市場で散見されますので、生産拠点がバーミンガムだったのかもしれません。
このようなブラックシャフトのステッキは、身なりにこだわる紳士が夜の外出用としていたといわれています。
きりりとした黒に、鈍く光る銀、そして運を引き寄せるオクタゴナルを備えたステッキは、夜の帳のなかで最強の相棒であったことでしょう。
英国紳士の矜持を感じさせる凛々しき1本。貴方のお手元にいかがでしょうか。
◆England
◆J Howell & Co
◆推定製造年代:c.1924年
◆素材:スターリングシルバー、木、金属
◆サイズ:長さ約91cm グリップ直径約3.5cm
◆重量:262g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリや凹み、変色等がみられます。
*ステッキはがっしりとしており、体重をかけてもほとんどしなりません。
*石突部分の金属も残っておりますが、すこし潰れておりわずかにカタつきます。ご使用時にはゴムキャップ等を嵌めることをお勧めします。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A