フランスアンティーク、クリスタル(水晶)のグリップをもつステッキ。
英国のアンティークフェアで手に入れた美しく優雅なステッキのご紹介です。
まず目を惹くのは透明なグリップ。クリスタルでつくられたグリップは、月桂樹の透かし彫りが美しい銀の飾りでシャフトに納まり、唯一無二の存在感を放っています。シャフト中央にもお揃いのカラーが回され、程よいポイントに。
シャフトは一見ブラック塗装仕上げに見えますが、よくよくみれば濃い杢目が確認できるローズウッド。かなり細いステッキではありますが、ローズウッドならではの硬さで、体重をかけてもほとんどしなることはありません。
販売していたマダムによれば、19世紀初頭のフランス製とのこと。
それでは、シルバー部分をよく見てみましょう。フランスのシルバーマークは英国ほど厳密に管理されてはおらず、通常、銀を証明する刻印と工房の刻印の2つが押されます。
まず、フランスの銀細工工房を示すホールマークは1797年以降、菱形の刻印が使われています。菱形の内部に各工房のマークやイニシャルなどが配されます。
また、銀を証明する刻印としては一般的に95%(premier/プルミエ=ファースト)(1973年からファーストは92.5%に変更)と80%(deuxieme/ドゥズィエム=セカンド)の2段階に分けられています。
代表的な物は1838年からのミネルヴァのマーク。ファーストの周囲は八角形で、セカンドの周囲は樽型であり、ミネルヴァの横顔の脇に在る数字やアルファベットで10年単位で年代を特定します。
他に1838年から使われた猪と蟹のマークがあります。これは基本的にアクセサリーなど小さな銀製品に使用されるもので、猪がパリで、蟹が地方となり、純度は80%です。猪の刻印は1984年まで使用されました。
今回の品物をみてみましょう。
グリップ部分に小さなマークが二つ確認できます。一つは菱形のマーク、もうひとつがおそらく猪のマークと思われます。菱形のマーク内の文字を読み解こうとしましたが、判別はできませんでした。
猪のマークは小さな物に使われた...とありますが、このステッキは小さな物なのか、それともシルバー部分だけ見れば小さいのか、理解に苦しむところです。正直、純度があっていればどちらでもよかったのかもしれません。猪のマークは1838年からの使用ですので、このステッキはそれ以降、そして19世紀の作であるのは間違いないように思います。
グリップのクリスタル(水晶)はとてもクリアで透明。覗きこむと不思議な気持ちにさせられます。
古代より、世界中で不思議な力を持つと信じられ、過去や未来を見通す道具として利用されてきた水晶。中世ヨーロッパでは護符として用いたり、赤痢などに対する薬として用いたといわれます。
悪運を退け潜在能力を引き出す力を持つため、自然治癒能力を高め、痛みや熱を和らげるなどの効果があるもいわれます。
なお、残念ではございますが、クリスタルのトップにわずかではございますが欠けがあります。手触りとしてひっかかるようなものではなく、この状態で安定しているように思いますので、このままのご紹介とさせていただきます。
銘木ローズウッドにシルバーの飾り、そして水晶を掲げたステッキは、特別な存在感で持つものを大切に護ってくれる雰囲気に満ちています。
グリップの水晶がさらに割れる時。それは貴方への禍を代わりに受けた時なのかもしれません。
・・・そんな想像をリアルに体現する、フランスアンティークの逸品をお届けいたします。
◆FRANCE/PARIS
◆推定製造年代:c.1838年以降、19世紀
◆素材:木、シルバー800、クリスタル(水晶)、他
◆サイズ:全長約90cm グリップ直径約2.1cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:145g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*グリップのクリスタルにはごく小さなカケがみられます。
*ステッキ石突部分にはカバーはございません。先端に小さな金属が埋め込まれています。
*実用にご使用になる際は滑り止めにゴムキャップ等をつけることをお勧めいたします。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A