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Friday

世紀を超えてきたマラッカと銀の杖 / Antique Walking Stick Malacca Cane with Sterling Silver Grip 1922

 英国アンティーク、マラッカ藤とスターリングシルバーのステッキ。


















17世紀、男性が剣を持たなくなった代わりに持ちはじめたといわれるステッキ。


その頃から、「象牙のグリップにマラッカ藤のシャフト」が高級ステッキの定番素材だったといいます。大航海時代に端を発し、世界中から素晴らしい品物を集めていた英国ならではの、贅沢な組み合わせでした。マラッカ藤(マラッカケイン)とは、マレーシア、マライ半島西岸のマラッカ海峡に面した港湾都市から出荷される周辺地域特産の藤の茎のことです。


もともとの材に斑(フラワー)が入っており、使えば使うほどそれが濃くなり、全体に艶がでてきて、しっとりと飴色になるのが特徴。その艶具合や斑などは個体差があり、その表情を愉しむのがマラッカケイン愛好者の愉しみであるといっても過言ではありません。

軽く丈夫で表情豊か、そしてエイジングもたのしめるマラッカケインは、杖はもちろん、傘の柄にも使われており、現代においても英国紳士が大好きな素材。英国王室御用達、老舗の傘メーカーFOXも、傘の柄の定番素材としてマラッカ藤を取り揃えています。



今回ご紹介するステッキは、シャフトがそのマラッカ藤、そしてグリップがスターリングシルバーでできているひとしな。


全体としては飴色で、味わい深い斑が散らばり自然の奥深さを感じさせます。断面が円形ではなく、一部がとがった(大げさに言えば雫状)形であることも、マラッカ藤の特徴。シャフトの下のほうは斑模様と小傷の密度が高くなっており、多少の表皮の剥がれも見受けられます。使われてきた証として受け止めて頂ければと思います。


トップがわずかに扁平な球形になっているグリップは、シンプルながらも持ちやすく、いつまでも指先で撫でていたくなるような優しい丸みを持っています。上部にはモノグラムが刻まれています。G A H R のように見え、おそらく持ち主のイニシャルと思われます。



さて、英国アンティークシルバーの印、ホールマークを見てみましょう。


まず左端はメーカーズマーク。次にシェフィールドのクラウン、次にスターリングシルバーの証、ライオンパサント。次は右端がデイトレターで、シールドに小文字の「e」ですので、1922年にシェフィールドのアセイオフィスで認可を受けたと思われます。


メーカーズマークは「RFM」。

これは「R.F.Mosley & Co =Robert Fead Mosley/ロバート・フィード・モズリー」のこととなります。創業者はロバート・モズリー。1856年にシェフィールドに来た彼は、刃物とカトラリーの事業を行い、市内でも有数の大きな工場を持つようになります。

1883年にはシルバースミスとして登録し、1890年には息子と共にロンドンの銀製品の小売店The Alexander Clark Manufacturing Coと提携するなど、事業を確実に広げていきました。

1968年に閉業するまでポットやトーストラック、ナプキンリングやトロフィーなどを製造していたようです。ロバート・フィード・モズリーは何種類かのメーカーズマークを登録していますが、今回の筆記体のマークは1910-1933年まで使用していたものです。




100年を経てきた飴色の杖。品格溢れるその姿は凛として、泰然とした長身の英国紳士を思わせます。


これからは、貴方のお傍に。

いつまでも品格を持ち歩き続ける一助としていただければ幸いです。



◆England

◆Sheffield

◆Robert Fead Mosley

◆推定製造年代:c.1922年

◆素材:マラッカ藤、スターリングシルバー、他

◆サイズ:全体長さ約91.5cm グリップ直径約3.5cm

◆重量:約158g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、凹みや変色等がみられます。

*シャフトは上から下に行くにしたがって色味が暗くなり、下のほうは表皮の剥がれも見られます。詳細は画像にてご確認ください。

*体重をかければごくわずかにたわみますが、しっかりとした印象です。

*石突き部分の金属は良いコンディションですが、実際にご使用の際はゴムキャップなどの装着をおすすめいたします。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。


Todd Lowrey Antiques

by d+A