英国アンティーク、ヴィクトリア女王回顧録。
英国のマーケットで手に入れた鮮やかな赤い本。
中央に金の箔押しでウィンザー城が配され、凝った字体で「OUR QUEEN」と誇らしげに掲げられた表紙が印象的です。
これは、ヴィクトリア女王の回顧録。
最終章に「63歳の誕生日をお迎えいただき国民全体が喜んでいる」の記述があることから、
ヴィクトリア女王が63歳になった後、それほど時をおかずに出版されたものかと思いますので、1882年以降数年の発刊であると推測いたします。
少なくても亡くなった後(1901年)よりは前であることは確実でしょう。
著者は「AUTHER OF "GRACE DARLING"」=「"グレース・ダーリング"の著者」となっています。
この「GRACE DARLING/グレース・ダーリング」とは実在した灯台守の娘の名前。
1815年にノーサンバーランド州で生まれ、ロングストーン島の灯台に家族と暮らしていたグレースは
1838年に難破したフォーファーシャー号からの生存者の救出に参加したことで、全国的に有名になりました。
彼女について書かれた作品は多く、ウィリアム・ワーズワースによる詩「グレース・ダーリン(1843)」や、
ジェロルド・バーノンによる「グレース・ダーリン、あるいは島の乙女(1839)」等が挙げられます。
よって残念ながら著者の氏名を特定することはできませんでした。
19世紀は小説などを書く人がペンネームを使用することが一般的になっていた時代です。
一方で、「ジェーン・エア」「嵐が丘」などで知られるブロンテ姉妹が、実名で発表しなかったのは、女性作家ゆえの偏見を避けるためであったなど
まだまだ差別が多かった時代でもありました。
この本の著者が女性であったかどうかは不明ですが、わざわざ「AUTHER OF "GRACE DARLING"」と特定できるような出来ないような表現をしたのは、何か理由があったのかもしれません。
本の内容としては、数ページではありますが美しい挿絵も入っており、タイトルの飾り文字も可憐で、ヴィクトリア時代ならではの華やかさを感じます。
最後に在る「GOD SAVE THE QUEEN !」の言葉も印象的。
大英帝国の爛熟期、ヴィクトリア時代を築いた女王についての本は、数々出版されておりますが、そのなかでも美しい一冊なのではないかと思います。
ヴィクトリアンの薫り漂う、世紀を超えてきた一冊を貴方のもとにお届けいたします。。
◆England
◆推定製造年代:c.1882年以降の数年
◆素材:紙、布、他
◆サイズ:約13.5×19.2cm 厚み約2.8cm
◆重量:485g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や折れ、傷み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A