英国アンティーク、革装丁の小さな本。
英国のアンティークマーケットで手に入れた小さな本。
シックなこげ茶色の革で装丁されており、一見小さなお財布のようにも見えます。かなり年季の入った革の表紙を開けば、見返しはシックなグリーンのマーブル紙が目に入入ってきます。
この本のタイトルは 「PALMS OF DAVID/ダビデの詩篇」。
ダビデの詩篇とは、聖書に納められた詩篇のこと。詩篇は多くがダビデの作であるとされてきましたが、近年では否定する説もあり、「ダビデの詩」などの表題はダビデによって書かれたと考えずダビデに献呈された詩と考える研究者が多いようです。主として神に対する信頼と愛情を表し、感謝、悔い改め、等々感情を揺さぶられる詩が多く、祈りの為の本であるともいえます。
CHURCH OF SCOTLAND(スコットランド国教会)公認、印刷はエディンバラのSIR D. HUNTER BLAIR and M.T.BRUCEによる一冊となっています。
興味深いのは冒頭の2ページに書き込みがあること。
まずは「PALMS OF DAVID」のタイトル頁の向かって左側。よく読めない文字もあるのですが最後に「...to him by his Mother」の文字があることから、母親からのものであることを伺わせます。
一番始めの頁もさらにわかりにくいのですが、おそらくは「Presented to Alice(...不明...)by her loving father June 14 1894」であり、1894年に父親から贈られたものであるかと思います。本の発刊が1833年ですので、初めに母親から誰かに、そして数十年後1894年に父親からアリスに贈られた、ということになるのではないでしょうか。推測ではありますが、一族で大切に親から子へ受け継がれてきた一冊のように思います。
また、この本が発刊された1833年はウィリアム4世の治世。1837年に即位するヴィクトリア女王は彼の姪となります。ウィリアム4世は1830年に即位し1837年には亡くなりますので、わずか7年の短い治世でしたが、王になる前は多くの時間を海軍ですごした彼は「船乗り王」ともよばれ親しまれていました。
ヴィクトリア時代が始まる前に作られ、既に190年が過ぎた小さなダビデの詩篇。シックなレザーに護られつつ、何世代にも受け継がれてきた小さな本は、今なお頁を繰ることができます。経てきた歳月と人々の想いが詰まった一冊は、貴方になにを語りかけてくるのでしょうか。
◆Scotland
◆推定製造年代:c.1833年
◆素材:革、紙、他
◆サイズ:約5×7.8cm 厚み約1.8cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:55g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や破れ等がみられます。
*本を閉じておくのはレザーの差し込みのみです。かなり柔らかくなっておりますが、かろうじて差し込み、止めることが出来ます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A