英国アンティーク、真鍮製ドアノッカー。
英国のマーケットで手に入れた真鍮製のドアノッカー。
トップには「CANTERBURY」の文字、そしてノッカー部分はロバに乗った旅人の姿があり、その下には「CHAUCER」の文字が見られます。
これは「Geoffrey Chaucer/ジェフリー・チョーサー(c1343-1400)」のこと。
まず、ジェフリー・チョーサーとは「カンタベリー物語/The Canterbury Tales」の作者であり、詩人、哲学者、外交官であった人物です。詳細な履歴は謎の部分も多いのですが、おそらくロンドンに生まれ、軍に同行したり、外交使節団に加わったりして旅をしていることも多かったため、一説にはスパイでもあったのでは、ともいわれています。カンタベリー物語のはっきりしとした製作年は不明。
内容としては、チョーサー自身がカンタベリー大聖堂への巡礼の途中、たまたま宿で同宿した様々の身分や職業の人間とともに、旅の退屈しのぎに自分の知っている物語を順に語っていく・・・という形式で組み立てられたものとなっています。
騎士の話、粉屋の話、親分の話、料理人の話等々バラエティに富んだ内容で、当時は印刷技術はまだなかったため(グーテンベルグによる活版印刷は1450年頃から)、写本が多く出回り、そのことからもかなり人気はあったようです。15世紀以降さらに評価は高まり、現在でも読み継がれている、中世イングランドの名作の一つであると言えるでしょう。
なお、ドアノッカー上部にはライオンと3羽の黒い鳥から成るカンタベリーの町の紋章、下部のシールドはカンタベリー大司教の紋章が配され、全体をまとめています。
ノルマン朝の初代イングランド王、ウィリアム1世(1087年没)の命にて建立され、ウィリアム1世の死後、1130年に完成したカンタベリー大聖堂。
元々はローマ・カトリック教会の一部でしたが、ヘンリー2世(1133-1189)と対立し暗殺されたトマス・ベケット大司教が聖人として安置されると、人々が祈りを捧げると重篤な病人やけが人が次々に治癒する奇跡が起き、カンタベリーの大聖堂には多くの巡礼者が訪れるようになりました。1534年にローマ教皇庁からイングランド国教会が独立したため、カンタベリー大聖堂はイングランド国教会の総本山となりました。
・・・ということで、馬に乗ったチョーサーは、まだカトリック教会であったカンタベリー大聖堂を目指しております。
宗教と政治、文化と生活。
様々に絡み合った長い物語を紡ぎながら、馬に乗ってゆっくりと聖地を目指す中世の詩人を、貴方のお部屋の扉にいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1930-50年代頃
◆素材:真鍮
◆サイズ:幅約5.7cm 高さ約13.6cm 厚み約2cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:138g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A