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Saturday

可憐で優雅な銀の持ち手/ Antique Silver Handle Magnifying Glass 1904

 英国アンティーク、シルバーハンドルの拡大鏡。
















英国アンティークのひとつの定番、拡大鏡。


機能性を求められつつも、そこには間違いなく作り手と使い手の美意識が感じられ、逸品が数多く存在します。その魅力にとらえられ、一つ持っていても、またひとつ、またひとつ・・・とコレクションする方も多いのではないでしょうか。


レンズを囲むものとして真鍮製、合金製、木のハンドルと金属のコンビネーションなど、様々な拡大鏡がありますが、今回はそのなかでも王道ともいえる優雅な銀のハンドルを持つ拡大鏡のご紹介です。


ややフラットなハンドルは、周囲をエッジで囲まれており、中央部にはくるり、くるりとカーブを描くスクロールが配されています。端部には三つのCスクロールが集合し、パンジーの花のような表情を覗かせています。そしてそこにホールマークが刻印されています。


さて、英国アンティークシルバーの印、ホールマークを見てみましょう。


バーミンガムのアセイオフィスの印、錨のマーク。スターリングシルバーの証、ライオンパサント。デイトレターはシールドに小文字の「e」で、バーミンガムにおいてこの1904年のデイトレターとなります。メーカーズマークは「W.D」。よってメーカーは「William Devenport/ウィリアム・デヴェンポート」となります。


この会社の源は、1837年「Joseph Whitton/ジョセフ・ウィットン」によって設立された「Joseph Whitton」社が始まりです。その後「William Devenport/ウィリアム・デヴェンポート」がパートナーに就任した際に、社名は「Whitton & Devenport/ウィットン&デヴェンポート」に変更され、その後やがて「ウィリアム・デヴェンポート」という社名に変更されたという歴史を持ちます。銀細工の化粧道具などの小物を多く製造していたようで、後に銀メッキ加工も手掛けるようになり、第一次世界大戦中も、銀製品やあらゆる種類の電気メッキ製品を製造していたようです。


なお、レンズ部分は後年に付け替えられたものであると思われます。英国アンティークの拡大鏡は、このようにハンドルは活かしながらレンズ部分が付け替えられているものが多くあります。金属製のレンズ枠は太いものもありますが、このお品物はごく細いレンズ枠で仕上げられています。



全体長さ約10cm強で、こぶりで邪魔にならないサイズ感。フラットなハンドルはさりげなく持ちやすく、十分実用にお役立ていただけることと思います。


可憐で優雅な銀の持ち手の手触りを愉しみつつ、貴方の日々の暮らしに彩りを添えてください。




◆England

◆Birmingham

◆William Devenport

◆推定製造年代:c.1904年

◆素材:スターリングシルバー、ガラス、金属

◆サイズ:全長約10.2㎝ レンズ部分直径約4cm 厚み約0.8cm

◆重量:18g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れ、変色等がみられます。

*レンズ部分は後年に付け替えられたものと思われます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




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by d+A


釣魚大全の国から来たウサギ釣り師 / Vintage Royal Doulton "FISHERMAN BUNNYKINS" 1990

 ロイヤルドルトン社製、バニキンズ・シリーズよりフィッシャーマン・バニキンズ。













臙脂色のジャケットに青いネクタイを締め、眼鏡をかけた小粋なバニキンズ。左手にはバスケット、右手には網と竿を抱え、急ぎ足で歩いております。


英国の釣り文化を感じさせる小さなウサギをご紹介いたします、



まず、製作は1815年設立のRoyal Doulton/ロイヤルドルトン。


創業者はジョン・ドルトン/John Doultonのほか、マーサ・ジョーンズ/Martha Jonesとジョン・ワッツ/John Wattsの3人でしたが、1853年に社名は「Doulton」となります。はじめはストーン・ウェアを生産する小さな工場でしたが、2代目のHenry Doulton/ヘンリー・ドルトンの代に蒸気機関を取り入れるなど積極的に事業を拡大、大成功をおさめます。


その後1882年にスタッフォードシャー、ストークオントレントのBurslem/バースレムを生産拠点と定め、ここが現在も続くロイヤル・ドルトンの本社となっています。またヘンリー・ドルトンは陶磁器業界で初となる「ナイト」の称号を与えられ、1901年にはエドワード7世から王室御用達の栄誉を受け、ここで「ロイヤル・ドルトン」と名乗ることを許されたのです。


ロイヤルドルトンの特徴は、滑らかな肌のボーン・チャイナと、意匠の芸術性。実際に使われる食器はもちろん、装飾的でコレクタブルな食器、人形などのフィギュアも美しく完成度の高いものが多く、さすが世界的に有名な、英国を代表する陶磁器メーカーであるといえるでしょう。


また、Bunnykins/バニキンズとは、1930年代から続いているロイヤル・ドルトンのうさぎキャラクターのこと。現在では子供向けの食器がメインで、バニキンズ・シリーズとしてお皿やマグカップが販売されています。ただ、フィギュア(陶器製人形)は、現在はロイヤルドルトンからは製造・販売はされていないようです。



バニキンズのもともとの始まりは1934年、テーブルウェアから始まりました。陶器製の人形の始まりは1939年。きっと、テーブルウェアの評判がよかったからだと思われます。英国の絵本作家、Mary Barbara Baileyによるウサギのイラストをモデルに、Charles John Nokeが立体としてモデリングしたのが、初代、6デザインのバニキンズ・・・陶器製のウサギの人形でした。(ちなみにこの6デザインのバニキンズは、現在市場に出ると驚くほどの高額で取引されています)その後、世界は第二次大戦へ突入し、ロイヤルドルトンは陶器製人形の生産を中止。1969年にBeswick Pottery を買収後、1972年から再度シリーズとして製造を始めたのです。



クリケットをしているチームだったり、ロビン・フッドだったり、チューダー朝のコスチュームを着ていたりと、テーマは様々ですが、すべて「ウサギ」。基本的にある一定期間しか製造・販売していないため、販売終了となれば市場にでたものを探すしかありません。また、ファンクラブ限定商品であったり、特定の団体や組織などのために製作されたものもあり、レア度も様々。それによって価格も異なります。




今回ご紹介するバニキンズの底面には、ロイヤルドルトンのバックスタンプの他に以下の文字がみられます。


FISHERMAN BUNNYKINS

DB28

1990 ROYAL DOULTON



FISHERMANとはそのまま、釣り人の意味。そういえば、英国において釣りはとても人気のある趣味です。特に田舎ではもっともメジャーな娯楽のうちの一つと言ってもよいかもしれません。


そして英国で釣りといえば、世界中の釣り人から「釣りの聖書」と賛えられる歴史的名著「The Compleat Angler; or, the Contemplative Man’s Recreation/釣魚大全(ちょうぎょたいぜん)」を思い出します。


釣魚大全はイングランドの随筆家、伝記作家である「Izaak Walton/アイザック・ウォルトン(1593-1683)」によって書かれた本で、釣りの技ばかりでなく、季節ごとの魚の姿、釣魚の風俗、料理法、釣り人の生態なども紹介されており、釣りの楽しみを通して人生の悦びを説く本とされています。ちなみに作家であり釣り師でもあった開高健先生は「私の釣魚大全(1969年刊)」を執筆しており、同書を深く敬愛していたことを伺わせます。


ジャケットにネクタイで釣りに向かう小さなウサギは、英国紳士ならでは正装で釣りを楽しみたいタイプなのか、はたまたアイザック・ウォルトンの言葉のように「I have laid aside business, and gone a'fishing/私は仕事を傍らに置いて釣りに出掛けた」のかもしれません。



釣りがお好きな方へ。

ウサギがお好きな方へ。


そしてもちろん、英国文化を敬愛される方へおすすめの、小さなウサギはいかがでしょうか。



◆England

◆Royal Doulton

◆推定製造年代:1990年

◆素材:陶器

◆サイズ:高さ約10.5cm

◆重量:101g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですが、欠けやヒビは見当たりません。

*底面にわずかに汚れがございます。詳細は画像にてご確認ください。

*箱はございません。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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by d+A


ドイツの踊り子はあいまいに微笑む/ Antique Dancing Lady Watch Fob Cigar Cutter

 ドイツアンティーク、シガーカッター。













英国のアンティークマーケットで手に入れた、ちょっと珍しいお品物のご紹介です。


高さ約5CM強の小さなレディ。足をあらわにスカートを翻し、胸元を強調した花柄のドレスはなかなかに艶めいて、ほんのり微笑むさまから推測するに、お仕事は劇場やキャバレーなどの踊り子かと思われます。足元の円形には「GERMANY」の文字。

そして何よりも特徴的なのは、レディは2枚重なっており、中心には穴が開いていて、2枚のレディを上下から押すようにすれば、足は開いて中心の円は狭くなる、という仕掛けが備わっていること。この円の部分にシガーを差し込み、カットする「シガーカッター」の役目を持っています。


動画をアップしましたので動作状況をご確認ください。





そして販売していたディーラーによれば、これは懐中時計のフォブの一種であるとのこと。


紳士の必需品であった懐中時計、そしてお洒落な紳士であればこだわりをもって付けていたであろうフォブ。ジャケットの懐からちらちらと見えるフォブが、このような品物であれば、気づいた人を愉しませ、会話のきっかけになったのではないでしょうか。レディの頭頂部には丸環がついておりますので、ペンダントトップとしてのご使用も可能かと思います。



さて、「ドイツ、踊り子」とくれば、1890年に発表された森鴎外の小説「舞姫」を思い出します。この小説は主人公豊太郎がドイツに留学していた時代を回想する作品であり、ヒロインのエリスは踊り子とされています。そして小説によれば「踊り子は奴隷のような存在」とされていて、当時の踊り子の環境の過酷さが推測できます。

それを鑑みてこのレディを眺めれば、あいまいな微笑みはなんだか悲しげに見えてくるようです。



これからは是非、貴方のあたたかな懐に。寂し気なドイツの踊り子の居場所を作ってあげてみてはいかがでしょうか。



◆Germany
◆推定製造年代:c.1880-1900年代頃
◆素材:金属
◆サイズ:高さ約5.41cm 幅約3.2cm 
◆重量:7g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色などがみられます。
*動作は両手でゆっくりと行ってください。
*実際にシガーカッターとしてご使用いただけるかどうかは不明です。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。 




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by d+A


リエージュの小道からパリの君へ/ Antique French Picture Photo Frame with Photo at Liege

 フランスおよびベルギーのアンティーク、分厚い面取りガラスが印象的な写真入りフォトフレーム。
























幅広の面取り加工が施され、分厚いガラスが印象的なフォトフレームのご紹介です。


フランスアンティークでは定番ともいえるスタイルで、いわゆる四方枠などのフレームではなく、面取りガラスを上下の金具で押さえただけのシンプルな構造。そして最大の特徴は、Bevel加工(Beveled Edge/面取り加工)されたガラスです。


面取り加工は、木材や金属でも行われる処理で、角を削って尖った部分を無くすことですが、それを極端に施すことで、意匠性や意味をもたせ、額縁にはない魅力をもたらします。「Beveled Edge/ベベルド・エッジ」 といっても、その処理や程度はさまざまで、これほど極端な面取り加工は、Miter Edge/Ground Miter と表現されることもあり、日本では幅広面取り加工といわれ、魅せるエッジ加工として、デザイン性を求めた鏡や装飾ガラスなどの加工方法として行われます。


今回のガラス厚は、およそ8mm。表面同様に磨きあげられており、その結果、光がプリズムに当たった時のように屈折・分散・反射するため、平面的なガラスに立体的な印象が生まれ、より美しく、さまざまな表情を見せてくれます。


見る角度によっては、ガラスの奥の写真が浮いているようにも見えたり、光の環境によって、反射であったり、影であったり、それらが幾重にも重なってるように見え、ベベルド・エッジのもたらす不思議なフレームワークが楽しめます。


ガラスを支えるフレームは、金メッキが施された金属製で、折りたたみ式のスタンドがついた支柱の内部には圧縮コイルスプリングが仕込まれており、上部の金具を引っ張り上げると下方向へ戻ろうとする力が働く原理を利用し、ガラスを上下の金具で挟みこみ、安定させています。


上部の金具に付けられた、ひらひらと左右に拡がるリボンの装飾は、ルイ16世スタイルのインテリアデコレーションとして人気のモチーフのひとつ。主役であるガラスと写真を邪魔することなく、ふんわり載せられたリボンのアクセントと、ちょこんと置かれた足元の丸脚が、さりげなさの中にフランスアンティークならではのエレガントさを醸し出しています。


このタイプのフォトフレームは、額縁がないゆえに、特にガラスのエッジ部分は破損し易く、完璧な状態のまま保存されているものは稀少です。今回のガラスも細かな欠けがみられ、向かって左下の角はやや大きめに欠けております。表面にも小さな打痕などがみられますが、全体としては良いコンディションであるといえるでしょう。



さて、フレームの中には紙と写真が挟まれています。


紙はおそらくフレームに初めからついていたもので「PARIS」「MARQUE FABque DEPOSEE」の文字が見られます。これは英語では「registered trade mark」の意味ですので、このクラウンがパリのメーカーのマークなのかもしれません。


そして写真の下には「Theo  Roba」「6, rue Soeurs de Hasque Liege」の文字が見られます。これはベルギーのリエージュ中心部にある小さな通りの名前で、「Theo  Roba」とはその場所で1905年(もしくはもっと前)から1914年頃まで写真館を開いていた写真家の名前ということがわかりました。


よってフォトフレームはパリのもの、写真はリエージュで撮影されたということになります。


また、写真の背面にある手書きの文章につきましては、冒頭の文章は「Je suis en promenate=私は散歩中です」なのではないかと思うのですが、そのあとについては読み解くことができませんでした。




こんな推測はどうでしょう。


1900年代、リエージュの小道にある写真館。森の背景幕の前でハットを被り、ステッキでポーズを決めた紳士は、自分の写真の背面に簡単なメッセージを綴り、パリにいる大切な人へと送ったのかもしれません。そしてそのお相手が、手元にあったフレームに飾った・・・。



100年以上前にあったであろうそんなやりとりが、このフレームに丸ごと納められているのかもしれません。


そう思いながら眺めれば、分厚いガラスの向こうから見つめる紳士の瞳は、とても優しいように思えます。


定番のアンティークアイテムも、見方によっては特別なひとしなになる。そんなふうに感じていただける方、お待ちしております。



◆France/Belgium

◆推定製造年:フレーム1880~1890年代頃/写真1900年代頃

◆素材:ガラス・金属

◆全体サイズ:幅約10.8cm 全高約20cm 

◆ガラスサイズ:幅約10.8cm 高さ約16.5cm 厚さ約0.8cm

◆重量:420g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、金属フレームの一部に微細な傷や汚れ、金属部の経年変化などがみられますが、機能に影響はありません。

*ガラスには欠けや打痕がみられます。

*画像の写真が付属します。

*詳細は画像にてご確認ください。

*写真以外の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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