西ドイツヴィンテージ、蓋つきビアマグ。
ずっしりと重いガラスの蓋つきビアマグ。
ドイツのビアマグには伝統的に蓋がついており、それ故に独特の存在感を持ちますが、この蓋はなぜついているのでしょうか。
諸説ありますが、有力なものとして14世紀にヨーロッパ全土で猛威をふるったペストのため、という説があります。当時は「ハエがペストを媒介する」と信じられていて、ビールを飲んでいるときにハエがビアマグのなかに入らないよう、蓋をつけたのが始まりといわれています。
ただ、その後も蓋はルネサンス期を経て、近代になっても使われていました。このころは、野外でビールを飲む際に落ち葉や虫が入るのを防ぐためや、ビールの冷えた状態を保ったり炭酸の抜けを防いだりするために重宝されていたようです。またお代わりのサインとして、「飲み終わったビアマグの蓋を開けておく」という使い方もされていたといわれています。
前段が長くなりました。今回ご紹介するビアマグをよく見ていきましょう。
分厚いガラスには麦のイラストがエッチングされており、さらに麦の上に飾り文字で以下の言葉が彫られています。
Hopfen und Malz Gott Erhalts
これはドイツ語で直訳すると「ホップと麦芽、神が与えてくれる」となります。意味合いとしては「神よホップと麦芽をお守りください」となり、乾杯の言葉となったり、醸造所の看板などに掲げている標語としてみることができます。
そして蓋は、開くと以下の文字があります。
BMF ZINN 92%
MADE IN WEST GERMANY
まず、「BMF」とは1902年にドイツのニュルンベルクにて設立されたBMF社(Bayerischen Metallwarenfabrik)のこと。実用品から高級品まで幅広い品物を製造し、数十年にわたり金属加工部門の大手企業の一つでありましたが、この家族経営の会社は1991年に売却され、1998年には新所有者も破産を申請し、製造は終わっているようです、
また、ZINNとはドイツ語で「錫(すず)」のこと。つまりこの蓋部分の素材はピューターとなります。ピューターは錫を主成分とし、他にアンチモンと銅を加えた合金であり、割合はメーカーにより様々ですが、一般的には錫が85-98%を占めており、多いほど変色しづらい特性を持つとされています。
蓋のデザインは松ぼっくりとリーフ柄になっており、森をイメージさせるモチーフはいかにもドイツらしく素朴で味わい深いものとなっています。
どっしりとしたイメージが多いように思うドイツのビアマグですが、今回ご紹介するビアマグはすらりと優雅な曲線が美しい意匠となっています。
1kg超えとかなり重く、もしここにビールを入れたらさらに重くなることは必須。もちろん力自慢のかたは本来の目的通りにご使用いただいても良いですし、ガラスの蓋つき容器として小物入れにも良いかもしれません。
分厚いガラスを透かして、ニュルンベルクの風景が見えてくるような、西ドイツヴィンテージです。
◆West Germany
◆BMF
◆推定製造年代:c.1950-1970年代頃
◆素材:ガラス、ピューター
◆サイズ:全体高さ約26.5cm 飲み口直径外寸約8.4cm
◆重量:1052g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*小麦の右上に細かな擦り傷がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*ワレや欠けはみられません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A