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Saturday

リエージュの小道からパリの君へ/ Antique French Picture Photo Frame with Photo at Liege

 フランスおよびベルギーのアンティーク、分厚い面取りガラスが印象的な写真入りフォトフレーム。
























幅広の面取り加工が施され、分厚いガラスが印象的なフォトフレームのご紹介です。


フランスアンティークでは定番ともいえるスタイルで、いわゆる四方枠などのフレームではなく、面取りガラスを上下の金具で押さえただけのシンプルな構造。そして最大の特徴は、Bevel加工(Beveled Edge/面取り加工)されたガラスです。


面取り加工は、木材や金属でも行われる処理で、角を削って尖った部分を無くすことですが、それを極端に施すことで、意匠性や意味をもたせ、額縁にはない魅力をもたらします。「Beveled Edge/ベベルド・エッジ」 といっても、その処理や程度はさまざまで、これほど極端な面取り加工は、Miter Edge/Ground Miter と表現されることもあり、日本では幅広面取り加工といわれ、魅せるエッジ加工として、デザイン性を求めた鏡や装飾ガラスなどの加工方法として行われます。


今回のガラス厚は、およそ8mm。表面同様に磨きあげられており、その結果、光がプリズムに当たった時のように屈折・分散・反射するため、平面的なガラスに立体的な印象が生まれ、より美しく、さまざまな表情を見せてくれます。


見る角度によっては、ガラスの奥の写真が浮いているようにも見えたり、光の環境によって、反射であったり、影であったり、それらが幾重にも重なってるように見え、ベベルド・エッジのもたらす不思議なフレームワークが楽しめます。


ガラスを支えるフレームは、金メッキが施された金属製で、折りたたみ式のスタンドがついた支柱の内部には圧縮コイルスプリングが仕込まれており、上部の金具を引っ張り上げると下方向へ戻ろうとする力が働く原理を利用し、ガラスを上下の金具で挟みこみ、安定させています。


上部の金具に付けられた、ひらひらと左右に拡がるリボンの装飾は、ルイ16世スタイルのインテリアデコレーションとして人気のモチーフのひとつ。主役であるガラスと写真を邪魔することなく、ふんわり載せられたリボンのアクセントと、ちょこんと置かれた足元の丸脚が、さりげなさの中にフランスアンティークならではのエレガントさを醸し出しています。


このタイプのフォトフレームは、額縁がないゆえに、特にガラスのエッジ部分は破損し易く、完璧な状態のまま保存されているものは稀少です。今回のガラスも細かな欠けがみられ、向かって左下の角はやや大きめに欠けております。表面にも小さな打痕などがみられますが、全体としては良いコンディションであるといえるでしょう。



さて、フレームの中には紙と写真が挟まれています。


紙はおそらくフレームに初めからついていたもので「PARIS」「MARQUE FABque DEPOSEE」の文字が見られます。これは英語では「registered trade mark」の意味ですので、このクラウンがパリのメーカーのマークなのかもしれません。


そして写真の下には「Theo  Roba」「6, rue Soeurs de Hasque Liege」の文字が見られます。これはベルギーのリエージュ中心部にある小さな通りの名前で、「Theo  Roba」とはその場所で1905年(もしくはもっと前)から1914年頃まで写真館を開いていた写真家の名前ということがわかりました。


よってフォトフレームはパリのもの、写真はリエージュで撮影されたということになります。


また、写真の背面にある手書きの文章につきましては、冒頭の文章は「Je suis en promenate=私は散歩中です」なのではないかと思うのですが、そのあとについては読み解くことができませんでした。




こんな推測はどうでしょう。


1900年代、リエージュの小道にある写真館。森の背景幕の前でハットを被り、ステッキでポーズを決めた紳士は、自分の写真の背面に簡単なメッセージを綴り、パリにいる大切な人へと送ったのかもしれません。そしてそのお相手が、手元にあったフレームに飾った・・・。



100年以上前にあったであろうそんなやりとりが、このフレームに丸ごと納められているのかもしれません。


そう思いながら眺めれば、分厚いガラスの向こうから見つめる紳士の瞳は、とても優しいように思えます。


定番のアンティークアイテムも、見方によっては特別なひとしなになる。そんなふうに感じていただける方、お待ちしております。



◆France/Belgium

◆推定製造年:フレーム1880~1890年代頃/写真1900年代頃

◆素材:ガラス・金属

◆全体サイズ:幅約10.8cm 全高約20cm 

◆ガラスサイズ:幅約10.8cm 高さ約16.5cm 厚さ約0.8cm

◆重量:420g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、金属フレームの一部に微細な傷や汚れ、金属部の経年変化などがみられますが、機能に影響はありません。

*ガラスには欠けや打痕がみられます。

*画像の写真が付属します。

*詳細は画像にてご確認ください。

*写真以外の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A