英国ヴィンテージ、ウスターシャー連隊紋章入りマラッカ藤のステッキ。
イングランド中部の競馬場で行われていたアンティークフェア。
屋内のみの開催ながら、広いホールは沢山の出店者で溢れており、なかなか見応えのあるフェアでした。そのなかの1軒、どっしりとしたお腹が愛らしい親爺殿のストールで見つけたステッキをご紹介いたします。
グリップ部分を見ると、紋章が入っており、どうやらどこかの軍のものだったらしいことがわかります。そしてグリップの質感が、銀色だけどスターリングシルバーとは少し違う印象です。
グリップには星章を背景にしたライオンと「FIRM」の文字。オーバルのベルトには以下の文字がみられます。
「HONI SOIT QUI MALY PENSE」
このマークは「ウスターシャー連隊/Worcestershire Regiment」のものです。
ウスターシャー連隊とは、かつて英国軍に存在した隊の名前。1881年に設立され、第一次世界大戦と第二次世界大戦を含む多くの紛争に参加し、1970年にほかの隊と合併したため、名前は無くなっています。隊のモットーは「FIRM=堅固」。
また一方で、ライオンを囲むオーバルのリボンには以下の文字がみられます。
「Honi soit qui mal y pense」
「悪意を抱く者に災いあれ」
これは1348年にエドワード3世によって創始された、イングランドの最高勲章「ガーター勲章」のモットーでもあります。
お腹が愛らしい親父殿の説明によれば、グリップはシルバープレーテッド(銀メッキ)。何故ならばオフィサーのものだったから。 ジェネラルだとスターリングシルバーなんだけどね・・。とのことでした。
ちなみにオフィサーは士官、ジェネラルは将官、といったところだと思いますので、上級将官のグリップはスターリングシルバー、士官は銀メッキ、と差をつけていたのでしょう。そしてこのステッキは第二次大戦頃、1940年代頃のお品物と思われます。
また、マラッカ藤(マラッカケイン)とは、マレーシア、マライ半島西岸のマラッカ海峡に面した港湾都市から出荷される周辺地域特産の藤の茎のことです。もともとの材に斑(フラワー)が入っており、使えば使うほどそれが濃くなり、全体に艶がでてきて、しっとりと飴色になるのが特徴。
その艶具合や斑などは個体差があり、その表情を愉しむのがマラッカケイン愛好者の愉しみであるといっても過言ではありません。軽く丈夫で表情豊か、そしてエイジングもたのしめるマラッカケインは、杖はもちろん、傘の柄にも使われており、現代においても英国紳士が大好きな素材。英国王室御用達、老舗の傘メーカーFOXも、傘の柄の定番素材としてマラッカ藤を取り揃えています。
今回のステッキのマラッカ藤はとりわけ太く、真っすぐなのが特徴。斑はほとんどみられませんが、あちこちに微妙な濃淡が現れており、マラッカならではの飴色の艶が美しい表情をみせています。太く強い部位を選んで作られたと思われ、正直このステッキで十分戦えそうな雰囲気をもっております。
星章に囲まれたウスターシャーのライオンを掲げた、マラッカ藤のステッキ。品格ある佇まいとがっしりした造りは、まさに歴史ある連隊のオフィサーそのもののようです。
貴方をひっそりと護る、頼りがいのある相棒としてお勧めいたします。
◆England
◆推定製造年代:c.1940年代頃
◆素材:銀メッキ、金属、マラッカ藤
◆サイズ長さ約83.5cm 持ち手直径約3.8cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:263g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、アタリ等がみられます。
*シャフトは太めでがっしりとしています。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A