持ち手に繊細なカメオが施されたヴィクトリア時代のアンティーク・ステッキ。
今回ご紹介するのは、珍しくも美しい特別な逸品、漆黒の支柱をもつヴィクトリア時代のウォーキング・ステッキです。
上部持ち手部分には、滑り止めも兼ねた彫刻が施されています。
いきいきと曲線を描くアカンサスの葉と、可憐なフラワーモチーフ。
その意匠は、途中のシルバーの帯にもリフレインされていて、統一された美しさをみることができます。
使用されている材は恐らく黒檀の一種。
銘木と讃えられる漆黒の材はヨーロッパには自生していませんが、ヴィクトリア時代の大英帝国の力をもってすれば、はるか南洋からはるばる運ばれてきたもおかしくはありません。
そして、なによりもこのステッキを特別なものとしているのは、カメオ。
古代エジプトを起源とし、ルネサンスを経て洗練されてきた芸術的な装飾品です。
このステッキの持ち手端部、ちょうど手で握る部分には、そのカメオがぴったりと取り付けられています。モチーフは優雅な貴婦人。
大輪の花を挿した豊かな巻髪。
恥じらうようにやや伏せた端正な横顔。
わずかにほころぶ口元。
柔らかく広がるデコルテ。
髪、そして首元や耳に飾られた繊細なアクセサリー。
質感と色味から、シェルカメオと思われる逸品は見れば見るほど、その表情と細かな細工に魅せられます。
いったいどんな紳士がこのステッキを持っていたのでしょうか。
そしてこの貴婦人はいったい誰?
カメオの持ち手を握るとき、その貴婦人の存在そのものを手にしているような錯覚に陥ります。
ひょっとして、紳士は自らの想い人の肖像をカメオに仕立て、自らの手に握っていたのではないでしょうか。それはかなわぬ恋の相手なのか、はたまた亡くした大切な女なのか。
立体的なカメオだからこそ、手で握り、指でなぞるとき、ある種のエロティシズムさえ漂います。
ヴィクトリア時代のステッキは凝ったものが沢山ありますが、このステッキはそのなかでも特別な逸品。
物言わぬ貴婦人の恥じらうような微笑みが、そぞろ歩く貴方のそばに寄り添い、遥か英国ヴィクトリアンの気品をともに纏わせてくれることでしょう。
◆England
◆推定製造年代:c.1890年代
◆素材:木(おそらく黒檀の一種)・金属・カメオ
◆サイズ:全体長さ約84.5cm
◆重量:約266g
◆在庫数:1本のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリ、先端部分の金属には歪みがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A