英国アンティーク、珍しいニス仕上げのコンベックスミラー。
リージェンシー・スタイルのコンベックスミラーは金彩を施したものが定番ですが、まれにこのような木肌を活かしたものをみつけることができます。
ロンドンから東に数時間ほど走った古い街。
時計塔がそびえる小さな街には、ちょっと有名なアンティーク・センターがあり、多くの人々(ほぼ年配の英国人)が訪れていました。
私達が行った日は、たまたま電気工事の最中でした。
アンティークセンターのスタッフから「一部停電だけど、気にしないでください」と声をかけられ、よくみれば奥のほうでは二人の電気技師らしき人達が、見るも恐ろしい古く複雑な分電盤と格闘中。
そして、その周りの店内は窓もなく、ほぼ真っ暗。
そして、営業中・・・。
日本だったらまず間違いなく営業はしないであろう状態ながら、お客さんはなんやかやとぼやきながらも、スマホのライトなどで商品を見ている状態でした。
かなり広いところだったので、停電なのは一部だけ。
照明がついている部分を先に回り、さあもう大丈夫かな、といってみても相変わらずの暗さ。
仕方なく、私たちもスマホのライトと手持ちのペンライトで商品を見始めました。
その頼りない光でみつけたのが、このコンベックスミラー。
初めは、金彩仕上げかな、と近づいてよくよく照らせば、見えてきたのは木肌の表情。明るいところへ連れ出してみてみれば、なんとも美しいニス仕上げのコンベックスミラーでありました。
金具の状態や、裏面からみとれるマホガニーの無垢と思われるフレーム中材を見る限り、まず間違いなく19世紀ヴィクトリアンのものと思われます。
意匠はコンベックスミラーでは非常に人気の高いリージェンシースタイル。
リージェンシー(Regency)スタイルとは、ジョージ4世の摂政(Regent)時代、および在位時代の建築や家具の様式のこと。時代としては1811-1830年頃、19世紀前半となります。
華やかなヴィクトリア様式の前段としてのスタイルで、家具においてはクラシック・リバイバルの要素が強く古代ギリシア、ローマの意匠を強く意識した、重厚で品格のあるデザインが主体でした。
このコンベックスミラーは、ミラー周囲のリーフパターン、その外側の球体の飾り、外周のモールディングなどリージェンシースタイルお約束の意匠を踏襲しつつ、金彩仕上げではない、優しく深いブラウンカラーで独特の雰囲気を醸し出しています。
無垢の木を贅沢につかっているせいか、重量は重めの約2.5kg。
そして、無垢の木のせいか、わずかながら全体がすこしだけ反っています。
背面の板には、白っぽいペンキが付着しております。
昔、だれかが白く塗ろうとでもしたのでしょうか?
英国では、1960年代頃から一部の人達の間で、ニス仕上げの「ブラウンファニチャー」に飽きたのか、やたらと白やグレーなどでアンティーク家具をペイントしてしまう、ということがおこっています。
・・・このミラー、塗られなくてよかった!
そして背面には二か所、アイアンで出来た珍しい形の吊り金具がでワイヤーを支えています。
白いペンキも、少し反った状態も、壁に掛けてしまえば見えないですし、ほとんど反りも気にならないくらいですので、このままのご紹介とさせていただきます。
少し珍しい、雰囲気溢れる仕上げのコンベックスミラー。
ずしりと重いその体躯は、過ごしてきた歳月を確かに感じさせる威厳に満ち、それでいて端正で静謐な美しさに満ちています。
壁に掛ければ、間違いなくお部屋の品格を高めてくれる、確かな英国アンティークの逸品です。
◆England
◆推定製造年代:c.19世紀後半
◆素材:木・ガラス・他
◆サイズ:直径幅約40cm 奥行き約4.5cm
◆重量:2.5g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*背面は説明にありますとおり、白いペンキが付着しています。
*吊り金具、ワイヤーは英国買い付け時のままです。現在のところ問題なく吊ることができます。
*ミラーには数か所、錆びや曇り、ヘアラインのようなスジがみられます。ガラス内面のものですので、除去することはできません。
*一番目立つと思うものを画像にて示しますが、それがすべてではないことをご了解ください。
*フレームには若干のアタリ、小傷、汚れ、材の離れ、反りなどがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*古いお品物ですので、上記のような事象がみられますが、全体としてはとても雰囲気のある私的なお品物だと思います。ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A