緻密なカーヴィングが美しいドイツのグローブボックス。
英国で買い付けたグローブボックス。
ドイツの古い物、というふれこみで手にとってみれば、確かにイングランドのテイストとは若干異なる緻密な意匠に、たちまち心を奪われてしまいました。
ひたすら細かく精緻に彫られた美しい蓋。どこか象徴的な2つの円形文様。それらを囲むように、可憐な花々と幾何学的なパターンが緻密に彫られた様は、まるでひとつの小宇宙のようです。
これらはいったいどんな意味がこめられているのでしょうか。
向かって左側には渦巻きのようなパターン。
日本の四つ巴紋にも似たパターンで、ラウブル(バスク十字)にも似ている文様となっています。
日本の巴紋は神社仏閣に多く用いられる紋であり、水の流れを象徴した紋ともいわれています。また、バスク十字はバスク地方はもちろんケルト人やゲルマン人のような他のヨーロッパの民族の芸術的表現において多く見られてきました。キリスト教以前からの古いシンボルであり、太陽を表すとも、人の一生の流れを表すのだともいわれてきた文様です。
また、向かって右側の放射状の円形は、太陽の光条を表すロゼットのようです。
ロゼットとは、中央から放射線状に広がる円形装飾。「バラ花型」と訳されますが、どちらかというと日本の菊のような形をしているものが多いようです。メソポタミヤや古代ギリシアからみられる古い文様で、一種の太陽マークとして、建築のレリーフや陶器に装飾されてきました。
そんな2つの文様を並べたのは、どんな意味があるのでしょうか。
私見ではありますが、これは「ふたつの太陽」を表しているような気がします。
右のロゼットはもちろん太陽。左の四つ巴紋≒バスク十字も太陽。
ただ、ロゼットはまさに天体の太陽を象徴するのに対し、四つ巴紋≒バスク十字は「太陽のような存在」という意味なのかもしれません。
19世紀、貴婦人は手袋をつけるのが習慣でした。
日々使う手袋を仕舞うグローブボックスは貴婦人にとってはなくてはならないアイテムのひとつだったといわれています。
「あなたは私にとってまさに太陽のような存在。空にかかる太陽と同じくらい、大切なのです」・・・そんな言葉と共に、大切な人へと贈った品物なのかもしれません。
そんな歴史を秘めたグローブボックスは、現代の生活でも、小物を仕舞っておくのにとても便利にお使いいただける小箱。
細長いので、定規やペンなどを仕舞っておくのに最適なサイズ。
腕時計を入れておくのにも良いかもしれません。
遥か遠い場所と時間を超えてきた古く美しい木箱は、そこに込められたメッセージとともに、私たちを魅了してやみません。
ぜひお手元で、その神秘的な美しさをご堪能ください。
◆Germany(England買い付け)
◆推定製造年代:c.1900年代
◆素材:木
◆外寸:幅約40.5cm 奥行き約13.8cm 高さ約7.5cm
◆内寸:幅約36.6cm 奥行き約10cm 高さ約5.5cm
◆重量:897g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色、わずかな材のカケ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A