ヴィンテージの缶は世界でも人気のあるコレクタブル・アイテムのひとつ。
凝ったデザインは見て楽しく、当時の世相や、どんなものが入っていたのかで変わるテイストは見飽きることがありません。
今回は、英国から買い付けた、趣き深いヴィンテージ缶をご紹介いたします。
深いグリーンを基調とした、コモード(フランス発祥の収納家具)のようなサーペンタイン(蛇が語源の曲線)・シェイプをした缶には、蓋に二人の男性のポートレイトが描かれています。
Dr.Livingstone
Henry Stanley
「Dr.Livingstone」とは、スコットランド出身の探検家、宣教師、医師であったデイヴィッド・リヴィングストン/David Livingstone(1813-1873)のこと。ヨーロッパ人で初めて、当時「暗黒大陸」と呼ばれていたアフリカ大陸を横断し、また、アフリカでの奴隷解放へ向けて尽力した人物でもあります。
1840年から宣教師としてアフリカに派遣されたリヴィングストン。数々の困難に見舞われながらも、アフリカを横断し、探検家としていくつもの重要な発見を果たします。
英国に帰国後、その功績からスコットランドの英雄としてもてなされ、1857年、アフリカでの体験を如実に記した「南アフリカにおける宣教師の旅と探検(Missionary Travels and Reserches in South Africa)」を著し、ベストセラーとなりました。
その後、第二次アフリカ探検を経て、英国王立地理協会からのナイル川の水源を探求する依頼によって始まった第三次アフリカ探検では、飢餓と体調の悪化に苦しみ、英国国内では死亡説まででた状態となります。
ここで登場するのが、もうひとりの探検家、ジャーナリスト、ウェールズ出身のヘンリー・モートン・スタンリー/Sir Henry Morton Stanley。
「ニューヨーク・ヘラルド」の経営者であるアメリカ人ジェームズ・ゴードン・ベネット・ジュニアからリヴィングストン探索の依頼をうけ、1871年11月にタンザニア・ウジジにてやせ細ったリヴィングストンに会ったときのスタンリーの言葉がこちら。
"Dr. Livingstone, I presume?"
「リヴィングストン博士でいらっしゃいますか?」
この言葉は、のちに英国で思いがけず人と対面した時の慣用句として使われるようになるほど、劇的なエピソードとして伝えられたそうです。
そんなエピソードをモチーフとした、英国のキャニスター缶。
缶の正面には、まさにその瞬間のイラストが有名なセリフと共に描かれています。
背面にはリヴィングストンのアフリカ探検の行程がわかるようになっている地図がございます。
メーカー名や商品名などは入っていないため、茶葉等を入れておくキャニスターとして販売されていたのかと思われます。
彼らのエピソードは1939年にアメリカで映画化もされていますので、ひょっとしてその頃に制作された缶、と考えるのはあながち外れたことではないのではないでしょうか。
「Stanley and Livingstone」1939 20th Century Fox |
19世紀英国とアフリカを舞台とし、アメリカの経営者も絡んだ冒険談は、今なお逸話として語り継がれています。
ちいさなヴィンテージ缶から広がる大きな世界。
・・・これだから、古い物探求は辞められません。
◆England
◆推定製造年代:c.1930-1950年代
◆素材:金属
◆サイズ:幅約11.5cm 奥行き約7.7cm 高さ約7.2cm
◆重量:95g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪みなどがみられます。
*蓋の開閉は比較的スムーズに行うことができます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A