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Friday

ふわりと軽く怖いほど鋭い / Antique Porcupine Dip Pen with Perry & Co. Nib

 英国アンティーク、ヤマアラシの針でできたペン軸のつけペン。


















興味深いお品物のご紹介です。



ごくごく軽く、こげ茶とオフホワイトの縞々模様をもち、細く鋭い形状をしたモノ。一方の先端はペン先がつけられるように加工されており、「MADE IN ENGLAND」の文字が刻まれています。実は、この縞々模様の細いモノは「ヤマアラシの針」なのです。



ヤマアラシ、英語で「Porcupine」。

種類は多く、南ヨーロッパや北アフリカが主な生息地となります。草食性の齧歯類であり、天敵から身を守るための針毛(とげ)が最大の特徴。敵に出会うと背中の針を逆立て、威嚇するだけでなく、相手に対し後ろ向きに突進する攻撃的な面ももちます。針毛は硬く、強度はゴム製長靴を貫く程であるといいます。



そんなヤマアラシの針は、実は古くからつけペンの材料として重宝されていました。



つけペンの材料としてまず思い浮かぶのは鳥の羽根。軽く細く、ある程度丈夫で、さらに中空であることから、先端を加工してつくられる羽ペンは古くから使われえきました。同じ理由で植物の葦も使われていたようですが、やはり羽根の方が使い勝手はよかったようです。特に大型の鳥の、風切羽根が重宝されました。


一方でヤマアラシの針は、古くからジュエリーやその他の工芸品の装飾、楽器のパーツとして使用されてきました。そしてもちろん、鳥の羽根と同じ理由でつけペンとしても。


ただ、鳥の羽根やヤマアラシの針は、ペンとして使うには消耗品でありました。何度も使えばすり減るため、その度にカットして使うものの、やがては使えなくなっていく・・・。


金属加工が発達し、性能の良いペン先が量産されるようになっていくに従って、鳥の羽根やヤマアラシの針をつかったつけペンは減りますが、古くからあるデザインとして、そのものをペン軸とし、先に金属製のペン先をつける、ということが行われるようになっていきます。



今回ご紹介するつけペンも、そんなもののうちのひとつ。


ペン先には「Perry & Co. Gladstone No.92M LONDON」の文字がみられます。

Perry & Co.は1824年創業のペン業界の老舗。1961年に廃業するまでに、多くのペン先やペンを製造してきました。この「Gladstone」タイプは恐らく1880-1900年代頃のものと思われます。おそらく英国で4回にわたり首相を務めた大政治家「ウィリアム・グラッドストン/William Ewart Gladstone(1809-1898)」に由来した命名かな、と思います。

ペン先とペン軸は同じ時代とは限りませんが、おそらくペン軸も同じくらいの年代と推測いたしますので、1900年代頃とご紹介させていただきます。



英国には生息しないヤマアラシ。異国の変わった生き物が大好きな英国人は、どれほどの歓声をあげながら、ヤマアラシの針のつけペンを手にしたのでしょうか。



今度は貴方のお手元に。

ふわりと軽く、怖いほど鋭い独特の味わいをご堪能ください。





◆England

◆推定製造年代:c.1900年代頃

◆素材:金属、ヤマアラシの針

◆サイズ(ペン先装着時):全長約19.5cm

◆重量:3g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色などがみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*ペン軸はヤマアラシの針なので、凹みや反りなどがございます。

*先端は鋭いです。お取り扱いには十分ご注意ください。

*ペン先を交換する際に、金属部分ごと外れてしまうことがありますので、抑えながら外してください。

*ペン先は現代日本で販売されている一般的なペン先(Gペンやかぶらペン、日本字ペン等)へ交換が可能です。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A