英国アンティーク、シリンダーケース入りリネン検査器。
当店で色々ご紹介しているリネン検査器。
それは、リネン織物の糸の密度や状態などを検査、検定するための顕微鏡(拡大鏡)のこと。この機能を有するものは「Linen Tester/リネンテスター」あるいは「Thread Counter/スレッドカウンター」という呼び名の折りたたみ式置き型ルーペとして現代でも活用されています。拡げるとコの字型になり、生地の上に直接置いて、1インチ角の正方形の開口から見える生地の状態を、円型のレンズから覗き込むかたちが最も一般的です。
このリネンテスターの原形は19世紀初頭まで遡ります。初期のリネン検定器/検査器は「Pillar Type Linen Prover」と称する、2本の小さな柱で支える最もシンプルな形状で、標準化された開口部ではなく小さな丸穴が開いているだけでした。ただ、折りたたみ式モデルも1840年代には登場しており、紳士のウエストポケットに仕舞えるように、折りたためるように作られたと言われています。
さて、今回のモデルをよく見てみましょう。
円筒形のフォルムは閉じていて、レンズも検査用の小窓も見えない状態になっています。上の接眼レンズ部分にはスライド式の蓋がついています。このタイプの蓋は望遠鏡の接眼レンズを護るためのものにとても似ていますが、このお品物については小さいため、スライドした蓋がそのまま脇に露出する形となります。それはそれで、システムをそのまま見ることが出来るので面白いのではないかと思います。
下部はケースとなっており、上方向に本体を抜けば、小窓が開けられたボトム部分が現れます。つまり、格納時にはレンズも小窓も隠れているため、そのままポケットに放り込んでも大切な部分にはダメージは受けない、ということ。
非常に似たタイプをサイエンス・ミュージアムのサイトで見つけましたので、参考までにご覧ください。
Linen prover (c.1850), in slip brass case の頁
https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/objects/co8720/linen-prover-c-1850-in-slip-brass-case
前段で「折りたたみ式モデルも1840年代には登場」とありますが、おそらくその折りたたみモデルが普及する前の過渡期の物のように思えます。製造年代はサイエンス・ミュージアムにならって、1850年代頃とさせていただきました。
ヴィクトリア中期。
増えつつあるリネンの流通、そして品質管理に奮闘した紳士のポケットに納まっていたであろう古いタイプのリネン検査器。
170年を超えてきた真鍮の味わいは深く滑らかで、所有するだけでも深い満足をおぼえていただけるのではないでしょうか。
アーリーヴィクトリアンの英国から貴方へお届けいたします。
◆England
◆推定製造年代:c.1850年代頃
◆素材:真鍮、ガラス
◆サイズ:直径約2.5cm 高さ約3.1cm
◆レンズ直径約0.7cm
◆正方形窓サイズ:1/4inch
◆重量:29g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A