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Friday

デヴォンの森と海から尊敬と共に / Antique Walking Stick with Sterling Silver Collar & Horn Grip

 英国アンティーク、スターリングシルバーのカラーと角のグリップを持つ漆黒のステッキ。



















英国アンティークを扱っていると、家具などに銘文が刻まれているものを見ることがあります。



例えば誰かに宛てた感謝の品物として。

例えば誰かの退職の記念品として。



大抵が「誰から、誰へ、いつ、何のために」が明記されているので、非常にわかりやすくなっています。経験上、ライティングデスクやダヴェンポート、そしてライティングボックスなどが、退職の記念品として贈られることが多いように思えます。日本ではあまりその習慣は無いので、慣習の違いがとても興味深く、もっといろいろなものを見たいと思っております。




前段が長くなりました。今回ご紹介するのは、そんな贈り物のひとつ。


まず、カラー部分には手彫りの唐草文様と共に、以下の銘文が刻まれています。



Presented to

Mr.D.Pearce C.O.

by the Crews of

Clovelly Coast Guard

Station & Delach

as a token of respect

on his retiring from

the service

11.12.03



内容としては「Clovelly Coast Guard/クロヴェリー沿岸警備隊」から、そこに勤めていて、退職する「Mr.D.Pearce C.O.」へ、尊敬を込めて贈られたものである、ということ。日付は1903年12月11日。


クロヴェリーとは、イングランド・デヴォン州にあり、ブリストル海峡のクロヴェリー湾に面した小さな村のこと。樹木に埋もれるように急な勾配沿いに建てられた家々で出来た小さな村は13世紀半ばからわずか3つの家族によって所有されてきており、現在では1738年以来この村を管理してきたハムリン家のジョン・ラウス氏の所有となっているそうです。石畳のメインストリートは車は通行禁止で、かつてはロバが、現在ではそりが荷物を運ぶ役目を果たしているとか。(調べるほどに、是非一度訪れて見たくなってきました・・・)



さて、もう少しお品物をみてみましょう。


カラーの唐草文様の中に刻まれたホールマークは、ロンドン、1902年。メーカーズマークは「E.N」のようにみえますので、ステッキマウントを得意としていたシルバースミス、ロンドンの「Ebenezer Newman & Co」の物であろうかと思います。グリップの材は水牛の角。触るほどに手に馴染み、黒く仕上げられたシャフトとともに、品格ある佇まいとなっています。


デヴォンの森と、海に挟まれた小さな村。

そこで長年真面目に頑張ってきたピアース氏は、退職時に仲間たちからステッキを贈られ、どんなにかうれしかったことでしょう。カラーにはロンドンのシルバースミスが刻んだ銘文まで添えられていて。

退職後の時間、彼はこのステッキを携えて、坂の多い町をゆっくりと歩き、海を眺めて過ごしたのではないでしょうか。


手にもてば、そんな彼の想いが伝わってくるような、英国アンティークのひとふり。ウェールズを遥かに臨むデヴォンの海風を感じてください。



◆England

◆London

◆推定製造年代:c.1902年

◆素材:木、スターリングシルバー、角、金属

◆サイズ:全体長さ約84cm グリップ幅約12cm 

◆重量:253g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、材の傷み等がみられます。

*体重をかけるとややしなります。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A