英国買付アンティーク、古い祈祷書。
英国のアンティークマーケットで手に入れた小さな本。
表紙と裏表紙は面のとられたオリーブウッドで作られており、背表紙は革製。表紙には「エルサレム十字/Jerusalem Cross」が彫り込まれています。
エルサレム十字とは5つのクロスを組み合わせたもので、キリストの5つの聖痕=「中央の大きな十字がキリストの心臓(または体)を、四隅の小さな十字が両手、両足に受けた傷(聖痕)」を表しているとされています。(諸説あります)
背表紙には「Common Prayer」「JERUSALEM」の文字。
そして表紙を開けば、以下の書き込みがみられます。
Emma Mason.
With love from H. C. M.
September 1888.
エマ・メイソンへ
愛を込めて H. C. M. より
1888年9月
このことから、この本は1888年9月に「H. C. M.」さんから「エマ・メイソン」さんへ贈られたものであることがわかります。
本としては「The Book of Common Prayer/英国国教会祈祷書」であり、出版社はオックスフォード大学出版局。そして発行年は書き込みの1888年より前でしょう。
また、裏表紙には縦書きのヘブライ語で「エルサレム」と描かれています。おそらく、オリーブウッドの部分はエルサレムで作られたことは間違いないでしょう。オリーブの木は古くからエルサレムで自生・栽培されてきたものですし、オリーブの木を活かした工芸品はエルサレムの伝統工芸として古くから親しまれてきたものです。
このことから、可能性としてはふたつ。
1:オリーブの木で作った表紙をエルサレムから英国に運び、オックスフォード大学出版局が発刊した祈祷書に取り付け、英国で販売した。
2:オックスフォード大学出版局が発刊した祈祷書をエルサレムに運び、オリーブの木でつくった表紙をつけて、英国からの観光客に土産物として販売した。
どちらの可能性もありますが、私としては「2」を推したいところです。聖地の土産物として販売されていた、そしてそれを行うだけの数の観光客が英国からエルサレムに行っていた・・・ということかな、と推測いたします。
さて、英国国教会について少し復習をしてみましょう。
1534年にヘンリー8世がローマ・カトリック教会から分離してつくられた英国国教会。このことから、英国国教会の聖地(総本山)はカンタベリー大聖堂とされています。ただ、英国アンティークを扱っていると、この祈祷書のようにしばしばエルサレムのお土産物らしき品々をみることができます。
たとえローマ・カトリック教会から分離したとはいえ、もともとの聖地であるエルサレムを、大切に思う英国の人々もそれなりに多かった(もしくは現在も多い)のではないでしょうか。そんな人々がわざわざ訪れた聖地で「英国国教会の祈祷書」をみつけたら、なんだか嬉しくなって手に入れてしまうのは想像に難くありません。この祈祷書はそんな人によって英国に持ち込まれ、エマ・メイソンへ贈られたのではないでしょうか。
英国国教会にとっては既に聖地ではないエルサレムで、オリーブに刻まれたエルサレム十字をもつ英国国教会祈祷書を手に入れる。
この祈祷書が持つ複雑な由来を、そのまま受け入れてくれる方のお手元へ、お届けいたします。
◆England/Jerusalem
◆推定製造年代:c.1888年より前
◆素材:オリーブウッド、革、紙
◆サイズ:約7.2×10.1cm 厚み約2cm
◆重量:107g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や傷み等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A

















