英国アンティーク、煉瓦積み工のための定規。
緻密な杢目のボックスウッドと真鍮でつくられた、英国の古い定規類。
作る側も使う側も、どちらもが職人である世界は、知るほどに奥深く感じられます。
今回はそのなかでも、なかなかに興味深い定規のご紹介となります。
まず長さは12インチ(30.48cm)。厚みは1cmを超え、その厚みを活かして中央部には水平器が埋め込まれています。そして木の端部には丸い穴が開いており、そこにもうひとつ、メインの水平器に対して垂直の水平器がもうひとつ仕込まれています。
この水平器2方向使いのタイプは、水平器を主目的にしたツールににおいてはしばしば見ることがありますが、定規そのものに組み込んだものは少し珍しいと思います。
販売していたディーラーによれば、これは「Bricklayer's Rule」=「煉瓦積み工のための定規」。確かに、煉瓦を積みつつ水平を測り、時に垂直に当てて傾きを測ることは、彼らにとって大切な作業であったことでしょう。丸い穴は使わないときは腰や道具箱に引っかけることができ、携帯にも便利だったとか。いかにも英国らしい定規であるといえます。
もう少しお品物をみてみましょう。
目盛りのほかに、以下の文字をみることができます。
まずは以下の文字。
IMPROVED
WARRANTED
CORRECT
IMPROVED:従来のものより「改良された」モデルであること。
WARRANTED:メーカーが品質を「保証している」こと。
CORRECT:測定器具として目盛りが「正確である」こと。
これはつまり、当時のメーカーが「この定規は改良を重ねた正確な測定器であり、その品質を保証します」と主張している意味と思います。
次は・・・
E.PRESTON & SONS
B'HAM. ENG.
E・プレストン&サンズ
バーミンガム イングランド
これは「Edward Preston & Sons/エドワード・プレストン&サンズ」の定規である、ということ。
バーミンガムにおいて1825年頃「Edward Preston Sr. (c. 1798-1883) /エドワード・プレストン・シニア」によって始まったとされる「Edward Preston & Sons/エドワード・プレストン&サンズ」。1850年には息子が事業に加わり、事業は発展。もともとは鉋製造業者でしたが、息子の代には鉋、建具、馬車、銃、キャビネット、大工道具等が製品ラインに追加され、高い評価を受けるようになります。
1889年、エドワード・プレストン・ジュニアの3人の息子が会社に加わり、社名はエドワード・プレストン&サンズに変更され、1898年の法人化に伴いエドワード・プレストン&サンズ株式会社となりましたが、1913年のエドワード・プレストン・ジュニアの死去ののち、1932年に同じくバーミンガムの J.Rabone & Sonsに売却されることとなりました。
最後はエドワード・プレストン&サンズのトレードマークであり、この「E P」の商標は1882年には既に使用されていたようです。
TRADE MARK
E P
以上のことから、この定規は1889-1932年の間のお品物であると推測いたします。
ジョージアンに始まり、ヴィクトリアンで大英帝国とともに発展したエドワード・プレストン&サンズ。
高い評価を受けていたとされる同社の製品を、職人たちはどれほど大切に使っていたのでしょうか。
煉瓦を一段積んで測っては、また積んで。地道な作業を積み重ねれば、やがては大きな建造物になる。いえ、大きな建物も地道な作業が無ければ何も生まれない・・・。
当たり前だけれども見落とされがちな理を、世紀を超えてきた定規は言葉なく伝えてくれるようです。
すべやかなボックスウッドと真鍮の手触りを感じながら、貴方ならではの方法でその想いを受け止めてください。
◆England
◆E.Preston & Sons
◆推定製造年代:c.1889-1932年
◆素材:真鍮、木、他
◆サイズ:全長約30.5cm(12inch) 幅約3.5cm 厚み約1.1cm
◆重量:128g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A














