可愛らしい「シティ・バンク」のデザインと、歳月を経た鉄の表情がなんとも風情があるアンティークの貯金箱。
詳細画像です。
小さく、手のひらに乗るくらいでありながら、ずっしりと重い貯金箱は、煉瓦造りでアーチの窓をもつ銀行を模したデザイン。
なんとも可愛らしく、玄関前には小さな階段すらついています。
よくみれば、側面には"C&H"の刻印。これは1890年にウォルソール/Walsallで創業した金属加工メーカー、Chamberlain & Hillのものと思われます。
バーミンガムの北、ウォルソールは産業革命の頃から金属加工や皮革加工業がなどが盛んな工業都市。
Chamberlain & Hillは19世紀終わりから20世紀にかけて、ストーブの形や、ブラックプール・タワーの形、そしてこの銀行の形などキャストアイアンの貯金箱を多く生産していました。
この貯金箱、構造は、裏側からマイナスねじでとめるようになっており、ドライバー一本で「ぱかり」と開けることができます。スリットはやや大きめで、日本の500円玉でもいれることが可能。
さて、実はこの貯金箱、買い付け当時から中に2枚の硬貨が入っていました。帰国後、開けてみたところ、それは2枚のファーシング硬貨でした。
ファーシングとは、1860年から1960年までイングランドで使用されていた通貨の単位。
1900年頃のイングランド、ファーシングは当時の換算で1ペニーの4分の1、あるいは1ポンドの960分の1の価値を持っていました。
1ポンドは約20,000円かもう少し上、といわれていますので、1ファーシングは約20円程度となります。
蛇足ではありますが、当時普通の手紙は1ペニーでしたので、これを換算すると約83円。なんと、今の日本の定型郵便とほど同じ金額に!なんとも不思議な感じがいたしました・・・。
さて、この貯金箱に入っていたファーシング硬貨、1枚は1906年、もう1枚は1907年のもの。片面にはヴィクトリア女王亡き後、1901年に王位を継いだエドワード七世、もう片面には女神ブリタニアの像が彫られています。
想像ではありますが、1900年代初め、この貯金箱をはじめに手に入れたひとが、早速手持ちのファーシング硬貨をいれてみたのではないでしょうか。そして、その後はついつい入れそびれ、いつのまにか家のどこにあるのかもわからなくなって・・・。
なんとも、ありがちなことと想像できます。
100年以上、2枚のファーシング硬貨だけをじっくりと預かってきた、小さな銀行。
これからは、ぜひあなたの手で、いっぱい預金してあげてください。
超低金利時代、おこづかいはこんな素敵な貯金箱に預けておけば、愉しみという利子がたっぷりついてきそう。
そして、できれば2枚のファーシング硬貨は、このまま守り神として貯金箱と一緒にしておいてほしいのですが、いかがでしょうか。
◆Walsall, England
◆by Chamberlain & Hill
◆c.1900年代
◆幅:8.6cm 奥行き:6.5cm 高さ:10cm
◆在庫数:1個のみ
◆ファーシング硬貨2枚をいれてお届けします。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A