英国アンティーク、フットスツール。
フットスツールとは、腰かけた時に脚を乗せる小さな台の事
18世紀後半にオスマン帝国から伝わったとされ、オスマン/Ottomanの言葉からオットマンとも呼ばれます。古代エジプトなどでは、椅子とともに足置きが描かれていることも多く、歴史の古い家具といえます。19世紀になると様々な形のフットスツールがつくられるようになりました。
今回は英国で買い付けたフットスツールをご紹介いたしましょう。
まず、材は恐らくウォールナットと思われます。ヨーロッパに古くから自生したウォールナット(胡桃の木)は、加工がしやすく、割れや狂いも少ないことからまず家具に利用されました。
磨けば光沢を発し塗料ののりもよく、落ち着いた色合いと重厚な木目が評価され、高級家具の材としてなくてはならないものとなってゆき、英国家具史においては17世紀後半から18世紀にかけて「ウォールナットの時代」といわれるほど重用されてきました。
程よい艶と杢目を持つ小さな足は「カブリオレ(カブリオール)レッグ/Cabriolet Leg」と呼ばれるもの。日本では「猫足」等と呼ばれるS字を描いた足の事で、「カブリオレ」とは「跳ねる足」を意味し、アンティーク家具では定番のフォルムとなっています。
このフットスツールの小さなカブリオレレッグは、先端部分に小さなスクロールが施された凝ったものです。無垢の材を彫り抜いて作り出された造形美は、小さいながらも頼もしく、そして優雅。ふっくらとしたクッション部分をふんわり軽々と支えているようです。
また、買い付けた時の仕上げ生地はかなり傷んでおりましたので、手持ちのファブリックに張替を行いました。
仕上げたファブリックは、英国サンダーソン社のデッドストック、ウィリアム・モリスによる「Autumn Flowers」。ウィリアム・モリスが1888年に壁紙としてデザインした「Autumn Flowers」は、色味を変えつつその後ファブリックとしても製作されてきました。
参考: V&A Museum Autumn Flowers Wallpaperの頁
https://collections.vam.ac.uk/item/O251109/autumn-flowers-wallpaper-morris-william/
恐らく10年ほど前までは英国サンダーソン社にて製造販売されていましたが、現時点で英国サンダーソン社のオフィシャルサイトでは掲載されておりません。
このファブリックはその頃のデッドストックで、先染めのベルベットジャガードというとても贅沢な手法で作られたクオリティの高いものです。
「Autumn Flowers=秋の花々」の名の通り、多くの花々や果実で構成されたウィリアム・モリスらしいパターンは、ベルベットジャガードという織の手法でさらに美しく演出されています。
手触りはまさにベルベットの柔らかさを持ち、立ち上がったパイルにより見る方向で色味と光沢が変わります。触感と視覚を存分に満足させてくる仕上がりです。
胡桃の木で仕立てられた小さなスツールに、ウィリアム・モリスの秋の花を乗せて。
寛ぎつつ長い夜をお楽しみいただくための、小さな家具を是非手に入れてみてください。
◆England
◆推定製造年代:c.1880-1900年代頃
◆素材:ウォールナット材(恐らく)、布、他
◆サイズ:幅約36cm 奥行き約26.3cm 高さ約21cm(クッション性がありますので脚を乗せれば少し沈みます)
◆重量:1360g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*木のフレーム部分は古いお品物ですので、一部に小傷やアタリ、材の歪み等がみられます。
*脚部にスジがみられますが、貫通していないため折れ跡ではなく、材のフシと思われます。
*仕上げのファブリックは英国サンダーソン社のデッドストックとなります。
*原則として椅子やソファに座り、脚をのせるためのものです。腰かけて大丈夫かどうかはわかりかねます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A