英国アンティーク、ウォーキングステッキ。
17世紀、男性が剣を持たなくなった代わりに持ちはじめたといわれるステッキ。剣のかわりにステッキを、盾のかわりに帽子を持った英国紳士は、武器であり装飾品であるそれらにどれほどの愛着を持っていたのでしょうか。
今回ご紹介するのは、その愛着のほどがわかる素晴らしいアンティークのステッキです。
目を惹く特徴的な杢目と、ポイントのシルバーの輝き。ごつごつした杢目を持つシャフトの荒々しさをシルバーが品よく纏めており、さぞこだわりを持つ紳士が愛用していたのではないかと思わされます。
まずはシルバーのホールマークを確認してみましょう。
カラー(ステッキシャフトやや上部)のホールマークは、左からメーカーズマーク、バーミンガムのアセイオフィスのマーク、ライオンパサント。そして右端のデイトレターは小文字の「a」。バーミンガムでこの字体の「a」のデイトレターが使われていたのは1900年です。
また、クラウン部分(ステッキの持ち手の先端)のホールマークですが、ライオンパサント、バーミンガムの錨、そして飾り小文字の「q」が確認できました。バーミンガムでこの字体の「q」のデイトレターが使われていたのは1898年。つまり、このステッキは1898年から1900年にかけて、バーミンガムで認可を受けたスターリングシルバーが使われていることがわかります。
メーカーズマークはシールドに「J M B & Co」のように見えますが、メーカーは特定することはできませんでした。また、クラウン部分のメーカーズマーク部分はわずかに破損がみられることを申し添えておきます。
シルバーに施されたパターンは唐草文様となっており、どこかアザミを思わせます。ひょっとして持ち主はスコットランドに由来のある紳士だったのかもしれません。
そして特徴的なシャフト。
このシャフトは「HOLLY/ホーリー/セイヨウヒイラギ」と思われます。
緑色のトゲトゲの葉に赤い実をもつ、セイヨウヒイラギ。常緑で真冬に赤い実をつけることから、ヨーロッパではキリスト教以前から聖木とされてきました。また、イタリアの古い習慣で農業の神(サトゥルヌス)を祭る際、この葉を用いたとされることから、別名サトゥルヌスの木と呼ばれ、セイヨウヒイラギを飾るのはキリスト教が広まったのちはクリスマスの風習に引き継がれたとされています。
キリスト教では、キリストの足元から初めて生えた植物とされ、トゲトゲの葉や赤い実はキリストの流した血と苦悩を表すとされます。そこから別名「キリストの刺」「聖なる木」とも呼ばれ、幸運や成功、魔除けの象徴とされてきました。セイヨウヒイラギの英名が「HOLLY」であるのも納得です。
ちなみに英国の作家J・K・ローリングによる「ハリー・ポッター」シリーズにおいて、ハリーが持つ杖は「ヒイラギ製で芯は不死鳥の羽根」。主人公に相応しい、良い意味での最強の魔力をもつということなのではないでしょうか。
HOLLY TREEならではの自然な突起をそのまま活かしたシャフトに、スターリングシルバーのカラーとクラウンを施したウォーキングステッキ。
幸運や成功、魔除けの意味を持つ聖なる木と、輝く銀との組み合わせを持つ英国ヴィクトリアンの1本は、貴方の良き相棒となってくれることでしょう。
◆England
◆Birmingham
◆推定製造年代:c.1898-1900年
◆素材:木・スターリングシルバー・他
◆サイズ:長さ約93.5cm 持ち手幅約13cm
◆重量:234g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、歪みや変色、シルバー部分のダメージ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*シャフトはしっかりしていますが、体重をかけるとややしなります。
*説明にもございますが、クラウン部分のシルバーに小さなダメージがございます。正直、ほとんど気づかないレベルだと思います。
*石突部分の金属はすり減って斜めになっていますが、シャフトの木はまだ見えておりません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A