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Friday

優美なアイボリンの古書/ Antique Book "AROISSIEN ROMAIN"

 ベルギーアンティーク、祈祷書。

















英国のアンティークフェアでたびたびお邪魔する、フランスのレディから買い付けた美しい本のご紹介です。


まず目を惹くのは清楚で優雅な表紙デザイン。

中央にクロス、周囲にはアカンサスリーフのスクロールや小花があしらわれ、下部には聖杯が配されています。聖杯の左右には葡萄と麦の穂。麦の穂はキリストの肉体(聖体)を表すパンの基、葡萄はキリストの血を意味するワイン(ぶどう酒)の原料を意味するとされます。クロスにはアルファベットが絡んでおり、「T H S」というモノグラムのようです。何を意味するモノグラムなのか、詳細はわかりませんでした。



そしてこの表紙の素材はセルロイド。


セルロイドは1869年にアメリカのジョン・ウェズリー・ハイアットによって開発された合成樹脂。(1865年に英国人のアレキサンダー・パークスが同様のものを発明していましたが、コスト問題で失敗していました)

ビリヤード球の素材であった象牙が手に入りにくくなったため、その代替素材の開発に懸賞金が設けられ、天然物に替わる素材として開発されたといわれています。彼の製造会社の商標としてセルロイドという名前が登録され、そのまま名前が定着しました。

多くの品物に使われてきましたが、発火しやすいこと、そしてほかの樹脂の発明により、現在では一部の商品を残して他の樹脂に置き換えられているのが現状のようです。



ヨーロッパでも凝った聖書や祈祷書の表紙には古くから象牙が使用されてきましたが、手に入りずらくなったことから19世紀末頃からは「アイボリン」と呼ばれながらセルロイドが使われるようになりました。




タイトルは「PAROISSIEN ROMAIN」。

=古いローマ教会のパロワシアン(Paroissien/祈祷書)。




奥付をみると、1936年にベルギーで印刷されたもののようです。



こぶりで美しい祈祷書は、レディのバッグや紳士のポケットに入れられ、日曜日の礼拝に欠かせないものだったのかもしれません。貴方の本棚の守り神として迎えてみてはいかがでしょうか。





◆Belgium
◆推定製造年代:c.1936年
◆素材:セルロイド、紙、他
◆サイズ:約7×10.4cm 厚み約2.1cm
◆重量:115g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。 




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques
by d+A