ダマスキナード(金象嵌細工)のトリンキットボックス。
黒地に金の輝きが美しいトリンキットボックス。
細かな細工に目を奪われる逸品は英国のアンティークフェアで手に入れました。
買い付けは英国ですが、製造はスペイン・トレドと思われます。
このような金象嵌細工を「Damasquinado/ダマスキナード」とよびます。
スペインの古都、トレドの名産であり、元々はシリアのダマスカスで生まれたとされる技法で、ダマスキナードの名前もダマスカスからきているとされています。
製法としては、まず鋼板の素材に線彫りを施し、24金や18金の金箔(6/1000mm)、金糸、銀箔などを埋め込んでいきます。
仕上がったら、下地の黒い風合いを出すために800-900度の高温に熱せられた液に浸け、さらに様々な模様を付け加え、磨きをかけて仕上げるのです。
モチーフは鳥や花など伝統的な具象物からアラベスク文様などのパターン、そしてモダンなデザインまで様々。
あくまでも手作業であり、職人技であるダマスキナードは、近年は職人もかなり減ってきているという話です。
さて、今回ご紹介するトリンキットボックス。
ダマスキナードには多くのアイテムがありますが、形状はフラットや、お皿のように緩やかなカーヴのものがほとんど。
トリンキットボックスもみかけますが、ほとんどが蓋の部分のみに象嵌細工がはめ込まれているものだと思います。
このようにドーム型の蓋をもち、底面以外すべての面に金象嵌が施された立体物はかなり珍しいものなのではないでしょうか。
そして施されたパターンは翼をもつドラゴン/龍。
最強の幻獣は力の証であり、その力を我が物にしたいという強者の象徴でもあります。
一方でドラゴンを囲む唐草や線表現は繊細で美しく、そのコントラストが見るほどに格調の高さを感じさせます。
壮麗なドーム型の蓋を開ければ、内部は深いグリーンのベルベット貼り。
大切な何かを仕舞っていたのでしょうか。
チグリス・ユーフラテスの川辺、ダマスカスの名を持つ歴史ある工芸品。
様々な歴史を秘めた小さな逸品を、貴方のデスクトップにそっと置いてみてはいかがでしょうか。
◆英国買付/スペイン
◆推定製造年代:c.1930-1950年代頃
◆素材:金属・布
◆サイズ(外寸):幅約7cm 奥行き約3.6cm 高さ約5.6cm
◆サイズ(内寸):幅約6.3cm 奥行き約2.6-2.9cm 高さ約2.5+αcm
◆重量:134g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色やアタリ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*中央の丸い金具を押しながら蓋を開けてください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A