英国ヴィンテージ、ケルト風デザインのブローチ。
スコットランドの男性の正装、キルト。
ちょっと本題とは外れますが、ここでキルトの着方をご紹介いたしましょう。
本式のキルトはウール製で2×4mくらいのシンプルな1枚の布=ブレード。
まず、中央のみプリーツだたみにして、左右はフラットな状態にしておきます。
プリーツ部分を背中にあて、左右のフラットな部分を前で重ね合わせ、ベルトを締めて固定させます。
右裾は前から左肩に廻し、左裾はベルトに挟みつつ背後から左肩に引き上げ、最後に左肩の上でピンやブローチで留めます。
この時、前の部分は巻きスカートのようにハタハタとしますので、ここでもピンやブローチで留める必要があります。
一般的には前の部分を留めるものをキルトピン、左肩で留めるものをブレードブローチ、と呼びます。
最も近年は着やすくなっているものが多く、ボトムはほぼスカート状のものを履き、トップはタイを締めてベストやジャケットを着ることも多くなっているようです。
さて、ここで登場するアクセサリーがキルトピンとブレードブローチ。
当然男性用でありますから、モチーフとしては剣や斧など勇壮なもの、そしてケルトの組み紐文様(ケルティック・ノット)等がモチーフとして好まれました。
昔から必要とされてきた男性のアクセサリーとして存在したため、英国ではこのバリエーションとみられる多くのブローチやピンをみることができます。
・・・ということで、今回ご紹介するブローチ。
形状としてはブローチの金具がついておりますが、細長いフォルムのため、用途としてはキルトピンに最適と思われます。
モチーフはケルト風の伝統的なもので、べースとなる材はスターリングシルバー。
英国においてスターリングシルバー(銀の純度92.5%)はホールマークによって管理されておりますが、ジュエリーなどの小さなものにおいては必ずしもホールマークは刻印されておらず、銀の純度を示す「925」もしくは「STERLING」などのみの場合もございます。今回ご紹介するブローチも裏面に小さく「925」の刻印をみることができます。
中央にはめ込まれたカットガラスは淡い紫色。
すらりと伸びた剣先のような部分には、漆黒のガラスがはめ込まれています。
そして周囲にはマーカサイトがはめ込まれております。
マーカサイトとは白鉄鉱のこと。
古代ギリシャの頃にも宝飾品として用いられ、インカの時代には鏡として使用されていたと想像される形状にて発見されています。
鏡面仕上げにした多面カットのマーカサイトで仕上げられたアクセサリーは、控えめながらもきらきらとした反射が美しく、あたかも無数のダイアモンドを散りばめたよう。
英国では19世紀後半から20世紀初頭にかけて大流行いたしました。
パワーストーンとしても親しまれ、冷静・明察・英知・沈着を表すといわれています。
現代日本ではキルトを召される機会は少ないかと思いますので、ジャケットの襟元などにいかがでしょうか。
細長いフォルムは品格に溢れ、スコットランドの紳士を思わせます。
身に着ければ、遥かなハイランドの澄んだ空気を運んでくれそうな、英国アンティークの美しい一品です。
◆England
◆推定製造年代:c.1950-1970年代頃
◆素材:銀(スターリングシルバー)、ガラス
◆サイズ:幅約2cm 長さ約7.7cm
◆重量:11g
◆在庫数:1点のみ
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ブローチ留め金具は、ご使用可能と判断してご紹介しておりますが現代の物に比べればわずかに操作性に劣ります。
*画像の箱、その他備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A