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Tuesday

ロココの華を緻密な彫刻で堪能する / Antique Letter Lack "LA MUSETTE"

英国アンティーク、マホガニーに銀メッキのプレートを施したレターラック。















壮麗ともいえるレターラックを手に入れました。

本体は艶めくマホガニー材。
台座から立ち上がる3枚の板に銀メッキのプレートが取り付けられ、そこに緻密な彫刻が施されています。

優雅そのものの意匠に目を奪われますが、1枚めからゆっくりとご説明いたしましょう。


まず、下の部分には以下の文字がみられます。

F BOUCHR P.
LA MUSETTE
B.WICKER Gr.


まず、「F BOUCHR P.」。
これは「Francois Boucher/フランソワ・ブーシェ」が描いた(paint)の意味。
フランソワ・ブーシェ(1703-1770)は18世紀ロココを代表するフランスの画家。
かのポンパドゥール夫人との関係も深く、ブーシェによるポンパドゥール夫人の肖像画は、彼女を語る上でも代表的な作品となっています。


次に「LA MUSETTE」。
このレターラックの元絵は、ブーシェによる1759年の作品「LA MUSETTE」です。
「LA MUSETTE」とは英語にすれば「ザ・ミュゼット」となり、ミュゼットという楽器の名前がタイトルになっています。
ミュゼットとは、17世紀後半から18世紀の半ばにかけてフランスで大流行したバグパイプの一種。
それまでのバグパイプには見られない複雑でかつ洗練された構造と、この楽器の音色が持つ「田園的」なイメージは当時のフランスの人々を熱狂させたといいます。

バグパイプと言えばスコットランドが有名ですが、見た目だけでいえば、スコットランドのバグパイプは黒などの無地かせいぜいチェック。
ただ、昔の油彩などでみるミュゼットは、美しい青や金色の豪奢な織物で仕上げられており、さすがフランスといえるお洒落な雰囲気のものをみることができます。

このレターラックのモチーフである女性が膝に抱えている袋状のものがミュゼット。
よくみれば、小さな筒状のものが飛び出しています。

田園風景の中、脇に子羊を従えて優雅にミュゼットを抱える貴婦人。
彼女にもたれかかるように寄り添うのは、恋人でしょうか。それとも彼女の魅力に抗えなくなった行きずりの男性でしょうか。
18世紀ロココの世界が広がる名画です。



最後に「B.WICKER Gr.」
これは「Bernard Wicker/ベルナルド・ウィッカー」が彫刻した(grave)の意味。
ベルナルド・ウィッカーについて多くの情報はございませんが、英国およびフランスの市場において、主として名画をモチーフとした銀メッキの小箱やマッチケースなどが、彼の名前と共に散見されます。
多くが19世紀後半から20世紀前半までものでありますので、今回のレターラックは1900-1920年代頃の作と推測いたしました。



ブーシェの名画「ザ・ミュゼット」をモチーフに、ベルナルド・ウィッカーが彫刻を施した、美しきレターラック。

ブーシェの元絵の雰囲気を活かし、柔らかな縁取りやロココ風のモチーフ、花綱などを散らして見事に独特の世界を作り上げることに成功しています。
背後の2枚は1枚めの雰囲気を踏襲しつつ、また別のデザインでまとめられており、見えにくい部分にも手を抜かない細やかなこだわりを感じさせます。
シルバーの質感と、それを縁取るマホガニーの古艶が品格溢れる仕上がりとなり。単なる文具を超え、一つの芸術作品といってもよいくらいの完成度。



英国アンティークの逸品を、是非お手元でご鑑賞ください。



◆England
◆推定製造年代:c.1900-1920年代頃
◆素材:マホガニー、銀メッキ
◆サイズ:幅約18.5cm 奥行き約8cm 高さ約12.2cm
◆重量:552g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、材の離れ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。

https://toddlowrey.com/?pid=145454345


Todd Lowrey Antiques
by d+A