エドワーディアンの頃に出版された「THE GATEWAY TO SHAKESPEARE /シェイクピア入門」。
だいぶ傷んではおりますが、おおぶりの迫力あるサイズ、凝ったイラストとタイトルの金箔が今もなお美しさを醸し出しております。
子供向けの本ということで、見返しや本文にもイラストが沢山描かれており、ミュシャを思わせるような雰囲気の筆致はシェイクスピアの世界へといざなってくれる魅力に満ちています。
よく見ると、ところどころのイラストが、色鉛筆のようなもので塗られています。
目次の左ページに「PAT BAILEY(パット・ベイリー)」の文字がみられますので、これはおそらく持ち主の子供の名前。
恐らくはこのパット君が塗ったのではないでしょうか。
内容としては「シェイクスピア入門」というだけあって、シェイクスピアの戯曲そのものではなく、1807年にイングランドのの随筆家チャールズ・ラムと姉メアリとが共同で執筆した「Tales from Shakespeare/シェイクスピア物語」をもとにして構成されています。
シェイクスピア物語とは、子供が古典に親しめるようにと、シェイクスピアの劇作品中20編を選び、喜劇はメアリが、悲劇はチャールズが、子供向きに書き直したもの。
複雑な構成の原作をなるべく簡単に、原作の精神をとらえ、セリフの言葉はそのまま生かそうとした意図が成功し、児童文学の古典の一つとされています。
この本はまずウィリアム・シェイクスピアの紹介、そしてチャールズ・ラムと姉メアリの紹介から始め、7編からなるシェイクスピア物語からの抜粋で構成されています。
発行は「THOMAS NELSON AND SONS/トーマス・ネルソン＆ソンズ」。
1798年にスコットランド・エディンバラにて創業した老舗の出版社。
長く英国において独立した出版社として聖書をはじめ多くの本を扱ってきましたが、
現在はオックスフォード・ユニバーシティ・プレスに吸収されてしまっているようです。
また、トーマス・ネルソン＆ソンズは1854年にアメリカ・ニューヨークに支社を持ち、こちらのほうは後に経営的に独立。
現在もテネシー州に本社を持ち、多くの本を出版しています。
オフィシャルサイト（英語版）はこちら。
https://www.thomasnelson.com
さぞ何回も読まれてきたのでしょう、正直、コンディションとしてはよくなく、実際にお読みいただくのは難しいかもしれません。
ただ、何度もページを繰られ、人の手の跡が残っていることは、本にとってはある意味幸福なことのように思えます。
英国文学の古典的名作を、子供たちがしっかりと受け継ぐ。
そのエビデンスである本書は、何か大切なものを語ってくれているようです。
貴方の本棚の片隅において。
書見台に歴史を感じるディスプレイとして。
おそばに置いてみてはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1910年代頃
◆素材：布・紙
◆サイズ：幅約19cm 厚み約3.7cm 高さ約24cm
◆重量:966g
◆在庫数：1点のみ
【NOTE】
＊古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、破れや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
＊ページにはところどころ、いたずら書きや挿絵への色塗りがみとめられます。
＊画像の備品は付属しません。
＊上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d＋A
