英国アンティーク、ケース付小型折りたたみ式定規。
機能がそのまま形となった精緻な定規は、英国アンティークの道具類の中でも格別に美しいものと思います。
今回はそのなかでも少々珍しいひとしなをご紹介いたしましょう。
まず、折りたたまれた状態では、全長3インチ(およそ8cm弱)ほどなので、手のひらにすっぽり隠れるほどコンパクト。ぱたぱたと全て拡げると、12インチ(約30㎝)の長さまで測ることができます。
小さいながらもその製作精度と品質は格別。天然木の定規に合わせて真鍮製の蝶番やエンドキャップが組み合わされており、それらはどこまでも繊細で、指の腹で触ってみても天然木と金属パーツのコンビネーションとは思えぬほど、寸分の狂いやズレもなくフラットに仕上がっております。異なる動きを見せる2種類の蝶番は、何度稼働させてもその動きに変化はなく、敢えてゆったり動く様は信頼性の証しといえるでしょう。
さらに、折りたたまれた状態で、ひねりやずれなどの力が加わっても蝶番に負担がかからぬよう、裏面と側面の合計3ヶ所のピンで噛み合わせるなど、とても心憎い配慮が施されています。
定規の材にはボックスウッド/Boxwood が用いられています。ツゲの仲間で、緻密な杢目と安定性から、伸縮しにくく折れにくい材料として、古くからチェスの駒や定規類によく使われています。
定規の両面にインチの目盛りが表示されており、寸法の目盛りや数字以外に、TRADE MARK HOCKLEY ABBEY No1150 MADE IN ENGLAND の文字が刻まれています。
トレードマークとして描かれた3つの三角形は、1770年にバーミンガムに建てられた ホックリー修道院/HOCKLEY ABBEY の「スリー・トライアングル」を表し、Rabone社(J.Rabone & Sons)が19世紀末から20世紀初め頃に商標として使っていたものです。
RABONE とは、イングランドの老舗ツール・メーカー。歴史は古く、1784年に定規などのツールの製造会社をバーミンガムで設立して以来、定規の他、巻尺や水平器、温度計などを製造し、他社へも製品を供給していました。
19世紀には多くのパテントを取得、イングランドでも屈指のメーカーとなっていきます。このころの屋号は「John Rabone & Sons」。1943年に法人化しますが、1963年に Rabone社はシェフィールドの James Chesterman and Co と合併し、その後の表記は「Rabone Chesterman」となります。
長い年月を経て使い込まれ、細かい傷や多少の汚れなどがみられますが、反りもなく、まだまだ現役としてご使用いただけるとても良いお品物です。手のひらにすっぽり隠れるほどコンパクトな大きさがさらに魅力的といえるのではないでしょうか。
また、このタイプの定規は当店で何度かご紹介して参りましたが、今回特別なのはレザーケースがついているということ。
ブラウンの革製で、表面にはヨットのイラストが箔押しされています。特にメーカー名の刻印はございませんので、John Rabone & Sonsの純正オプション、というよりは、販売店が定規と合わせて売っていたのか、持ち主が特別に誂えたもののような気がします。イラスト部分には多少の傷みがみられますが、ケースとしての機能に問題はなく、十分実用にお使いいただけます。
英国のクラフトマンシップが生み出した美しく精密な定規と、スペシャルなレザーケース。
とても特別感のあるひとしなを、是非お手元でお役立てください。
◆England
◆推定製造年代:c.1900~1910年代頃
◆素材:真鍮、ボックスウッド、革
◆サイズ:(たたんだ状態)幅約1.8cm 長さ約8.3㎝ 厚さ約0.9cm
◆サイズ:(拡げた状態)全長12inch(30.48cm) 厚さ約0.4cm+金具
◆ケース込み総重量:27g
◆定規本体のみ重量:21g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、金属部の経年変化などがみられますが、動作は正常でとても良い状態です。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A