フランスアンティーク、ウォーキングステッキ。
英国のアンティークフェアで手に入れたステッキ。
販売していたのはフランスの雑貨を多く扱っている壮年のカップル。おそらくフランスかベルギーの方かと思います。フランス製のクラッチハンドルのステッキ、グリップ部分はシルバー、作られたのは「世紀の代わる頃=turn of the century」との紹介を受けました
ひとめでグリップはシルバーかな、と思ったのですが、よく見てもはっきりとしたシルバーマークは確認できません。それでも、端正なフォルムとクオリティの高さに魅かれ、手に入れてしまいました。
フランスのシルバーは英国ほど厳密なホールマークシステムではございませんが、ある程度の目安となる刻印が押されていることが多くあります。ただ、このお品物に関してわかるのは、グリップ部分に何らかの刻印が押されているということだけ。今回は、販売していた彼らの言葉と、当店の経験により、グリップ部分はシルバーとしてご紹介させていただきます。
そしてグリップには小さなヤドリギのパターンが数か所刻まれています。ヤドリギとえばクリスマスに飾るもののイメージが強いですが、他にも雷除けのまじないや、ゴブリン(悪い妖精・精霊)から子供を守る魔除けとして、民間信仰の対象にもなってきました。古代ケルト文化では、ドルイド僧がヤドリギが寄生したオークの木の下で儀式を行っていたといいます。
このように昔からヨーロッパ人の生活で親しまれてきたヤドリギは、工芸の分野でもさまざまなデザインで登場してきました。とりわけヤドリギの「半寄生」に興味をもったアール・ヌーヴォー期のアーティスト達が、そこに儚さや虚しさを見いだし、工芸品のモチーフとしてとても好まれました。
シャフト部分は木製ですが、ほぼ黒といえる色味に塗装され、エボナイズド仕上げとなっています。ごくわずかに塗装の剥げがや汚れがみられますが全体としては良いコンディションといえるでしょう。長さは約90cmを超え、やや長めかと思います。
また、このようなブラックシャフトのステッキは、身なりにこだわる紳士が夜の外出用としていたといわれています。きりりとした黒に、鈍く光る銀、そして目立たぬほどに神秘的なヤドリギのパターンが施されたこだわりのステッキを携えての外出は、心躍るものだったのではないでしょうか。
他とは違う1本をお探しの方へ。
古代ケルトから始まり、アールヌーヴォーヘと続くストーリーの一端を味わいつつ、お傍においてみてはいかがでしょうか。
◆France
◆推定製造年代:c.1900年代頃
◆素材:木、シルバー、他
◆サイズ:全長約91.6cmcm ハンドル幅約10.6cm
◆重量:317g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*シャフトはがっちりとしており、グリップの緩みもございません。
*全体として重めです。体重をかけてもしなりはごく僅かです。
*前述のとおり、シルバーマークは不明確です。
*石突部分の金属は失われています。ご使用の際はゴム製のカバーをつけることをお勧めいたします。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A