英国アンティーク、懐中時計スタンド。
紳士のこだわりの持ち物の代表格、懐中時計。
腕時計が普及する前は唯一の携帯式時計であり、紳士にとっては無くてなならないアイテムでありました。
もちろん、腕時計が普及したのちもポケットウォッチを愛する紳士は多く、かのウィンストン・チャーチルもその一人。彼のトレードマークとして葉巻、そして胸のポケットウォッチチェーン(その先にはブレゲのNo.765)があったことは有名な逸話となっています。
さて、外出時には紳士のベスト、もしくはトラウザーズ(ズボン)のフォブポケットに入れられた懐中時計ですが、自宅に居る時はどうしていたのでしょうか。どこかのテーブルの上、デスクの上にそのまま置いていたこともあるかと思いますが、大切な懐中時計にはそれ専用の置き場所をしつらえる必要がありました。
それが「Pocket Watch Stand/懐中時計スタンド」。
こだわりのアイテムを受け止めるだけに、それこそ凝ったものが多く、スタンド単体のものもあればデスクセット(インク壺やペン置き)に組み込まれたものもみることができます。
今回ご紹介するのはそんな懐中時計スタンド。
まるで小さな塔のような姿をした躯体。材はおそらく松系の木材だと思います。正面と左右には装飾性豊かな彫刻が施されており、小さくも優雅な姿を見せています。そして、塔のてっぺんには丸い窓。ここは上部が空いた小さな小部屋があります。ここに、上から手を入れて、裏側についている金具に懐中時計を引っかければ・・・はい、小さなグランドファーザークロックの出来あがり・・・!という仕組みです。
当店で似たタイプのものを少し前にご紹介したことがございますが、今回は少しディテールが異なります。
帰宅したあと、懐中時計をここに掛けておけば、まるで小さなグランドファーザークロックがそこにあるように、時間を確認することができます。
ここで疑問。
もともとこのようなのっぽの時計は「ロングケースクロック」と呼ばれていました。長い振り子が内蔵されているため、物理的に「ロング=のっぽ」にならざるを得ないのです。なぜ、「グランドファーザークロック」と呼ばれているのでしょうか?
まず浮かぶのが、有名な歌。
♪大きなのっぽの古時計 おじいさんの時計~♪
ご存知ですよね?
この曲は1876年、アメリカ人のヘンリー・クレイ・ワークによって発表されました。でも実は、この歌詞の源はイングランド北部の町ピアスブリッジにある「The George Hotel」というホテルにあったのです。
1874年にこのホテルを訪れたワークは、とまったままのロングケースクロックに目を留めます。ホテルの主人に訳を聞くと、こんなエピソードを語ってくれました。
ワークが訪れる数年前まで、このホテルはジェンキンズという二人の兄弟が所有していました。ロビーには、兄が生まれた時に買ったロングケースクロックがあり、このタイプの時計にしては珍しく正確に動いていたそうです。
しかし、弟が病でなくなると急に遅れだします。そして約1年後、兄が亡くなった時(11時5分)にその時刻を指したまま、全くとまってしまった・・・と。
ワークはこの話に感銘をうけ、この兄弟の話を基として曲を書き上げました。アメリカに帰って発表したところ、たちまち評判となります。
その結果、それまで「ロングケースクロック」と呼ばれていた時計はアメリカではもちろん、英国でも「グランドファーザークロック」と呼ばれるようになったそうです。
これが、グランドファーザークロックの名前の由来。
この歌が発表、流行したのが1876年ですので、この流行歌にのっかって、この懐中時計スタンドは作られたのかもしれません。
ヴィクトリアンの後期。自宅の書斎の上のサイドボードに置いてあるのは、小さなのっぽの懐中時計スタンド。帰宅した紳士は、小さなグランドファーザークロックになるべく、そこに懐中時計をセットしながら、当時の流行歌を口ずさんでいたのかもしれません。
さあ、今度は貴方の番。
貴方だけの小さなのっぽの古時計をご堪能ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1880-1900年代頃
◆素材:木(松系の材だと思います)
◆サイズ:幅約10.2cm 奥行き約6.5cm 高さ約37.5cm
◆開口部窓サイズ:直径約4.8cm
◆重量:499g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材のワレ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*懐中時計のサイズによっては、窓との関係で隙間ができます。
*画像の懐中時計は付属しません。
*画像の懐中時計はわずかに下の台に乗っている状態でバランスがとれました。
*商品は時計ではなく「時計を掛けるスタンド」です。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A