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Wednesday

クートな紳士が愉しむ特別な一本 / Antique Bird Grip Walking Stick

 フランスアンティーク、鳥モチーフのステッキ。





















とても珍しく素敵なステッキのご紹介です。



英国のアンティークフェア、体育館のような大きな室内の一番奥のストール。小さな素敵な物を沢山扱っているおじ様のところで、このステッキはそっと横たえられておりました。珍しい形に興味を持ち伺えば、フランスのもので時代としては19世紀半ばから後半のものとのこと。


「珍しいステッキだよ。とても良い品だ。ほらここ(頭頂部)のシールドは18金、ここ(カラー部分)はシルバー。上の方はHorn(角)で、シャフトはあの硬い木・・・えっとなんだっけ」

「ヒッコリーですか?」

「そうそれ!」


そんな会話を交わしつつ手に取れば、鳥の部分の角はひんやりとすべすべで、シャフトはしっかりとしており、長さも長く(約93cm)、長身の紳士が持っている様が目に浮かぶようでした。始めて見るデザインに心惹かれ気づけば手に入れておりました。



鳥の種類は残念ながらはっきりとは断定できませんでした。頭頂部のシールドから、ツルの一種かなとも思いましたが、該当しそうなツルは基本的に嘴が長いため、そっくりな種はみつけることができませんでした。


強いて言えば「ツル目クイナ科オオバン属」の「オオバン」がやや似ています。「オオバン」の英名は「Coot/クート」で、夏季にはヨーロッパでも生息しており、水辺を好み灰黒色の羽毛に覆われていますが頭頂部にはシールド状の白い羽毛を持ち、くちばしはやや丸くなっています。古くから認識されている種で「Coot」は古代ケルト語に由来するとの説もあるようです。


また、英語の比喩として「coot」は「ちょっと変わった(クレイジーな)ふるまいをする老人」のことを指し、「Let the old coot sleep」は「どうせあの爺さんは助けてくれないから眠らせておけ」という意味となるとか。


これは想像ではありますが、年配の紳士が自らをからかうように「coot」を模した杖を敢えて持っていた可能性もあるのでは、とも思います。



カラー部分のシルバーは、フランスであれば基本的に2つのマーク、銀を証明する刻印と工房の刻印の2つが押されます。銀を証明する刻印は猪か蟹かミネルヴァで、工房の刻印は菱形のマークとなります。

今回の品物に関しては、カラーの下のほうにそれらしき何かがあるものの、その部分が少し引きつれた様になっており、詳細を確認することはできませんでした。英国のおじ様の言葉と、当店の判断としてシルバーとしてご紹介させていただきます。


また、クルミ科の広葉樹であるヒッコリーは強度と衝撃吸収力に優れ、この特性からラケットやバット、ゴルフクラブなど、スポーツ用品に多く用いられています。そしてもちろんステッキにも最適の材であることは間違いございません。


こんな想像はいかがでしょう。



ヴィクトリアンの英国、長身の小粋な壮年の紳士の日々。

彼はフランスで誂えたクートの杖がお気に入り。ヒッコリーのシャフトは丈夫だし、ホーンのグリップも気持ちいい。頭を包むように持って、たまに頭頂のゴールドをそっと指で撫でてみるのが楽しみ。

パブで友人たちとおしゃべりするときのオチは、このステッキを掲げて「どうせオレはクートさ」という仕草で決まり。



・・・このステッキの回りで、そんな風景が繰り広げられていたとしても不思議はございません。




遥かフランス、そして英国から飛んできた鳥のステッキ。貴方の手元で捕まえて、金色のシールドをそっと撫でてあげてください。



◆France

◆推定製造年代:c.1850-1890年代頃

◆素材:角、18金、シルバー、ヒッコリー、他

◆サイズ:長さ約93cm 幅約6.2cm

◆重量:192g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。

*少し細身ですが、しっかりとした印象です。

*シルバー部分はわずかに割けている箇所が確認できます。

*18金やシルバーを示す刻印は明確にはございません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A