英国アンティーク、スターリングシルバーのスタンホープ拡大鏡。
珍しい品物を手に入れました。
まず機能としてはスタンホープ拡大鏡。当店では何度かご紹介したことがある、特殊な拡大鏡です。
特徴はガラスの塊でできたむき出しのレンズ。スタンホープ型は金属枠に埋め込まれて使われているものもありますが、このように片面が完璧にフラットで、対象面に直接接触させて使用するタイプが多く、その無垢な存在感でとても人気のあるアンティーク拡大鏡のひとつといえます。対象物に直接触れる為、剥き出しでないと光が届かず暗くなってしまうため、このようなデザインである、ともいえます。
もともとは18世紀後半に英国の化学者、Charles Stanhope伯爵が発明したことから、"Stanhope Lens" と名付けられた両面共に凸形状の拡大鏡を、フランス人写真家の Rene Dagron が、自身が使い易いよう片面をフラットにした改良型がベースになったと言われています。
そして今回のお品物でなによりも特徴的なのは、そのスタンホープレンズを囲む持ち手が、鳥を模したスターリングシルバーであるということ。
レンズを囲む四角い枠に打たれたホールマークを読み解けば、バーミンガムのアセイオフィスで1896年に認可をうけたものであることがわかります。メーカーズマークはおそらく「A & LLD」(Dは小さい文字)。これはバーミンガムのシルバースミス「Adie & Lovekin Ltd」のマークとなります。1863年頃にJames AdieとAlfred Lovekinによって創業され、ヴィクトリアンからエドワーディアンにかけて、ブローチや拡大鏡など小さく高品質な銀製品を得意としていた会社です。
長い首をくるりとまげ、細長いくちばしをもつ鳥は「サギ/Helon」の一種と思われます。
キリスト教ではサギは蛇を攻撃するため、キリストの象徴となることがあります。また、古代エジプトの聖鳥「ベヌウ(Bennu)」はサギがモチーフであるといわれています。
"原初の海に沈んでいた太陽(の卵)が原初の丘に揚がった時にベンヌが太陽を抱いて暖めて孵化させた""太陽と同じように毎朝生まれ夕暮れと共に死んで次の朝に再び生き返るとされた"などのいわれを持ち、フェニックスのモデルともなった鳥。
優雅な立ち姿から19世紀末アールヌーヴォーのモチーフにもよく登場し、人々の眼を楽しませてきました。
そんなサギをモチーフとした、19世紀ヴィクトリアンのスタンホープ拡大鏡。
レンズ部分はごく小さいため、実用的というよりは機能をもったアクセサリーとしての意味合いが強いような気がします。チェーンをつけて胸元に下げれば、意味深い歴史を秘めた小さく美しいアンティークとして、貴方の日々を彩る事でしょう。
◆England
◆Adie & Lovekin Ltd
◆推定製造年代:c.1896
◆素材:スターリングシルバー、ガラス
◆サイズ:全長約6.2cm 幅約1.3cm 厚み約1.3cm
◆重量:5g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*拡大される様子の写真が、なかなかピントが合わず申し訳ありません。肉眼ではきちんと拡大されて見えます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A