英国アンティーク、ケース付レクタングル拡大鏡。
20世紀初めの装飾芸術、アール・デコ(Art Deco/新しい装飾)。
植物の有機的な曲線をテーマにしたアール・ヌーヴォーが19世紀末にヨーロッパを席巻し、そのあとにやってきたのがアール・デコです。
有機的なアール・ヌーヴォーに対し、直線と幾何学的な曲線を組み合わせた、構造的で理知的ともいえるアール・デコは工業製品とも相性がよく、一大ムーブメントとなりました。
アールデコが花開いたのはパリを中心としたヨーロッパやアメリカですが、もちろん英国にもその波は確実にやってきていました。ただ、室内装飾や家具においては、英国では装飾が多かったヴィクトリア時代から、すっきりとしたエドワーディアンに変わった頃でしたので、その波と交じり合い、それほど顕著にアールデコ様式として確立はされなかったように思います。
ただ、小物雑貨においてはその限りではなく、女性のアクセサリーをはじめとして、多くの英国でのアールデコ様式をみることができます。
今回ご紹介する拡大鏡もそのうちのひとつ。
まず、ケースはそっけないほどシンプルな濃紺のレザー。少しばかり飛び出した真鍮の持ち手をもって引き出せば、見事な「Rectangle/レクタングル」=矩形の拡大鏡が現れます。
レクタングルのレンズは大きな円形レンズから削り出しで作っており、非常に贅沢なものであるといえます。ただ、視野を広く持つことを優先しているため、拡大率はそれほどございません。一方で文章などを読む時は、行に対して効率的な視野を確保でき、楽に読むことが出来るというメリットがあるため、Reading Glassと呼ばれることもあります。
当店では何度かレクタングル拡大鏡をご紹介してまいりましたが、このようなこぶりのタイプは初めてのお取り扱いとなります。持ち手はわずかで、ほとんどがレンズでできているといっても過言ではない構造はレンズの形さえも意匠に取り込む巧みな構造。分厚いレンズを取り囲む細いフレームには小さな装飾が施されており、心憎い演出を愉しむことができます。
線や円弧など幾何学的な形の組み合わせはまさにアール・デコ。販売していたディーラーからの情報と当店の判断により、アール・デコ期1910-1930年頃のものと推測いたします。
リーディンググラスとしてお手元に常備すれば、華やかなアール・デコの空気が漂ってくるような、英国アンティークのひとしなです。
◆England
◆推定製造年代:c.1910-30年代頃
◆素材:レザー、ガラス、真鍮、金属
◆拡大鏡本体サイズ:幅約9.3cm 奥行約2.5cm厚み約1.1cm
◆総重量:57g
◆拡大鏡本体重量:49g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*レザーケースにも一部傷みがみられます。
*レンズには目立つカケやヒビはみられません。
*ケースにはただ差し込むだけです。留め具などはないため、逆さにすれば落ちますのでご注意ください。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A