ドイツヴィンテージ、リキッドウォーキングコンパス。
英国のアンティークフェアで手に入れたドイツ製コンパスのご紹介です。
シンプルな四角い黒い箱。薄い金属の蓋を開けば、ゆったりと動く磁針が現れます。つまりこれは針を含むケース内を液体で満たしたリキッドコンパスです。
リキッドコンパスは、針が動く際に液体の抵抗を受けるためブレがなくスムーズに動作し動作収束も早いため、扱いやすいのが特徴ですが、この液体についてはその製造元、年代によって種類は様々です。
無色透明の鉱物油という理解が一般的ですが、初期の1860年代のものはアルコールと水の混合液が使われていて、いわゆる専用のコンパスオイルは、1940年代まで一般的に使用されなかったようです。
アルコールと水の混合液は1960年頃にはほぼ使われなくなり、代わって、無臭のミネラルスピリッツ(100%パラフィンベース)や、同様の特性を持つイソパールLと呼ばれる液体などが使用されるのですが、製造メーカーによって充填液は様々、その詳細は企業秘密といわれています。
漏れてしまった液体を再充填するため、市販の無香料ベビーオイルで代用することも可能ですが、元の液体と混ぜることはNGだとか。
今回の品物も、無色透明な液体で満たされたドームの中は、気泡がまったく無いので、見ただけではそこに液体の存在は感じられません。ただ、何度も何度も傾けたり回転させても、円板はゆったりと水平を保とうとしながら的確に北を指し、そして安定する様こそが、磁気コンパスを理想的に動作させるため先人たちが追及してきた成果なのだと実感します。
さて、もう少しお品物をみてみましょう。
メーカー名の明記はなく表示されているのは「Germany」の文字だけではありますが、おそらくこれはWILKIE (Wilhelm Kienzler /ヴィルヘルム・キーンツラー)による「Model M」と思われます。
ヴィルヘルム・キーンツラー社は、1954年、ニュルンベルク近郊のフュルトで設立された企業で、ドイツで有数のコンパスメーカーの一つでした。「Model M 」は、ブラックプラスティックのケース、メタル蓋は任意の位置で止めることができ、蓋の内側はミラーとしての使用も可能。ウォーキングコンパスとして、世界へ向けて輸出も行っていたようです。
第二次大戦が終わり、平和へと動き出した世界。大戦時に培った技術を応用し、仕事や楽しみのために作られたコンパスのひとつが、この「Model M」かもしれません。
平和へと歩む世界の道標として、貴方のコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
◆Germany
◆推定製造年代:c.1960年代頃
◆素材:樹脂、金属、他
◆サイズ:高さ約13.1cm 幅約4.1cm 厚み約2cm
◆重量:48g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*リングをつけていたであろう部位が欠損しています。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A