英国アンティーク、小さな平カンナ。
英国の芝生の広場で行われるフレアマーケット。
アンティークマーケットとは異なり、野菜から靴、衣類までなんでもあり。もちろん家の不用品を持ってきている家族も多く、誰もが参加できる気軽なマーケットです。
私たちがよくいくマーケットは大きなアンティークセンターが近いせいか、プロのアンティークディーラーもぽつぽつと参加していて、玉石混合のなかからお宝を探し出す楽しみが満喫できる場所です(ただし要体力)。
そんなマーケットには、工具を売っているストールが少なくありません。現代のもの、少し使った中古品、そしてもっと古いもの。私の経験値からすると、古いものを扱う店主ほど、年齢が上になり癖の強さが増しているのは間違いのないところです。
今回のマーケットでもそんな癖の強い親爺殿から、いくつかの古い工具を買い付けました。彼はどうやら蘊蓄が止まらないタイプの御仁で、小さなカンナを私たちが眺めているとこんな話をしてくれました。
「それはイボットソンのカンナ。1910年代頃だね。このタイプはそれまでなくて、これをイボットソンが発売したらMOOR & WRIGHT(ムーア&ライト)が真似たんだよ。そのあとその改良品をムーア&ライトがだしたら、それを今度はイボットソンが真似たんだ!ははっ!」
20世紀初頭の小型カンナ開発合戦の一幕を楽し気に語ってくれました。
ムーア&ライトの工具類は当店でも扱っていましたのでとても興味深く、小さなカンナもとても素敵だったので手に入れてしまいました。
1809年からの歴史を持つ「Ibbotson Brothers & Co./イボットソン・ブラザーズ・アンド・カンパニー(以下イボットソン社)」。1819年にエア・イボットソン・アンド・ヘンゼル社が倒産した後、1821年にイボットソンズ・アンド・ローバック社(イボットソン・ブラザーズの前身)が、シェフィールド、ケルハム島(島と言っても運河沿いの一地帯の名称です)近郊のバウアー・スプリングにあるバーバー・アンド・ジェン社の旧工場で、鋸、ストーブの格子、フェンダー、鎌、鋼材を扱う商人兼製造業者として登記簿に登録されたという記録があります。その後イボットソン社は1824年にケルハム島でグローブワークスを開設。運河沿いの大規模統合工場として、開業当初は鋼材を生産し、その後、様々な刃物や関連製品の製造がおこなわれました。
その後1970年代までに、シェフィールドの刃物産業と鉄鋼産業は急速に衰退。1978年にグローブ・ワークスは閉鎖されましたが、その後再開発され、現在はテナントオフィスが入る歴史的建造物として運営されています。
参考:グローブワークス オフィシャルサイトより
歴史の頁
https://globe-works.co.uk/the-history
今回ご紹介する平カンナは、特に刻印などはございませんが、前述の話の通りイボットソンのものとしてご紹介させていただきます。ネジで羽の出方を調整できるようになっており、必要最低限の構造でできたシンプルで美しい形をしています。
ちなみに平カンナは英語で「plane/プレーン」。この語源は、ラテン語の「planus」に由来しており、「平坦な」「滑らかな」という意味を持ちます。つまり「平らにする」ということで、平カンナは「plane」・・・。なんてシンプルなことでしょう。ちなみに飛行機も「plane」であることは、興味深いことでありますが、そこまで掘ると長くなってしまいますのでここでは避けることといたします。
小さいながらもズシリと重く、英国工具の歴史を存分に感じさせてくれる小粋な工具。
貴方の工具箱の片隅にいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1910年代頃
◆素材:金属
◆サイズ:全長約9.8cm 幅約2.5cm 高さ約5.2cm
◆重量:208g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*用途として鋭いパーツがございます。お取り扱いには十分ご注意ください。
*ご使用においては刃を研ぐ必要があるかもしれませんのでご了承ください。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A