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Saturday

小鳥が導く太陽時間 / Antique Hunter Style Pocket Sundial Compass with Bird Gnomon

 フランスアンティーク、ハンタースタイル日時計。



















当店では今まで数点の日時計をご紹介して参りましたが、今回は格別に可愛らしい日時計のご紹介です。


手に入れたのは英国のアンティークセンター。大きな古い木製ガラスケースのなかに静かに収まっておりました。一見して日時計とわかる、直立した三角形のノーモン。そして出色は、そこに小鳥があしらわれていること。



もう少し品物をみてみましょう。


日時計は蓋付で、俗にいう「Hunter Style/ハンタースタイル」というケースです。狩りなどで動きが激しい際にむき出しのガラス面が危険なため、懐中時計やコンパス(日時計含む)に蓋をつけたタイプのことです。



そして東西南北は「N E S O」となっており、これはフランス語の「nord/ノール」「est/エスト」「sud/スュド 」「ouest/ウエスト」に当てはまります。そして鳥のノーモン部分をよく見てみると、40から60までの目盛りがあることに気づきます。


調べたところ、これは観測地点の緯度に応じてノーモンの角度を変えるためのもの。伏角も考慮した形ということです。つまりこの日時計は緯度40度から60度までの地点に対応しているということです。


ちなみにパリの緯度は48度、ロンドンは51度となります。そして東京は・・・35度。実は晴れた日に計測してみたのですが、どうしても時間が合わなかったので、この日時計が実用かどうかは、緯度40度から60度の地点に行ってみないとだめなようです。よって申し訳ないのですが現在のところ正確性は確認できておりません。


また、この小鳥のノーモンをもつ日時計を製造していたのはフランスの「Houlliot/ウリオ」社であると思われます。


1826年に宝石商「Louis Toussaint TOURLY/ルイ・トゥーサン・トゥーリー(1802-1869)」によって設立され、1870年頃からコンパスや測量機器を製造していたウリオ社。1866年にトゥーリーの義理の息子「Henri Isidore HOULLIOT/アンリ・イジドール・ウリオ」に引き継がれ、フランスの大手企業が販売したコンパスのほとんどを下請けで製造していたメーカーであり、製品を米国、ロシア、ドイツ等に輸出していました。

今回のお品物も社名の刻印はございませんが、特徴的な小鳥のノーモンや全体のつくりから、まず間違いなく同社のものとおもわれます。





人類は、何千年もの間、太陽の位置から時間や日や季節を判断し、利用してきました。

太陽の日周運動や地球表面への季節加熱などの周期的なパターンを、人類は理解し、追究することで、予測する知識や技術を習得し、立てた棒や石などの影が、太陽の時間と季節を示すことを、今からおよそ5千から7千年前に発見したと言われています。

中世に機械式時計が発明されましたが、当初は誤差が大きかったため、正午になると、機械式時計の時刻を補正するために日時計が使われたほど、太陽時間の重要性はしばらく維持されました。

やがて、鉄道の高速走行と長距離移動の増加に伴い、都市ごとの太陽時間による不都合が各地で顕在化し始め、より広い地域にわたる時間の統一、標準化が急務となりました。そして、機械式時計は進化し、精度と信頼性が上がり、安価になって普及するにつれて、日時計の使用頻度は減少し、太陽時間はより正確な時計時間に置き換わっていくこととなります。



太陽を基本としているため、丸い地球上ではどうしても緯度経度とかかわってくる日時計の時間。


そこから始まり、難しい計算を経てたどり着いた先にあるごくシンプルな「時」が、私たちの暮らしにあまりにも深く関わっていることに気が付くと、ある種の感動と恐怖を覚えます。


その気持ちを忘れないために。



時として(!)ハンターケースの蓋を開け、小鳥のノーモンを立ててみる。

揺れる磁針を見守り、小鳥の指し示す時間を探ってみる。

・・・そんな瞬間を体験してみたい方、お待ちしております。




◆France

◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃

◆素材:金属、ガラス

◆サイズ:直径約4.5cm 丸環含む全体長さ約6.8cm 厚み約1.5cm

◆重量:45g

◆在庫数:1点のみ




【NOTE】

*古いお品物ですので、小傷や汚れ等がみられます。

*あまり目立ちませんが、ガラス部分に一か所ワレがみられます。この状態を考慮した価格となっております。

*蓋の開閉はスムーズでストレスはございませんが、閉めておくのためのロック機構はなく、摩擦でそれなりに閉まっている感じです。

*コンパスは電磁波などに影響を受けやすいのでご注意ください。狂ってしまった場合は、簡単な直し方がネットなどで紹介されていますのでお試しください。

*緯度40-60度の地点用の日時計です。東京は35度です。現在のところ正確性は確認できておりません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A