英国アンティーク、羊皮紙に綴られた書類。
しっとりとした手触りをもつ古い書類のご紹介です。
「Vellum/ヴェラム」=「羊皮紙」に流麗なハンドライティングで綴られた書類。
羊皮紙とは文字通り羊の皮から作られた紙で、長持ちし、独特の風合いがあるのが特徴。破こうとしてもかなりな力が必要なほど丈夫なため、聖書や公文書等、貴重な文書に使用されてきました。
トッドローリィ・アンティークスでは今までに何点か羊皮紙の書類をご紹介してきました。それらはヴィクトリアンとエドワーディアンの頃、19世紀後半から20世紀初頭のものが多く、そして一番古いものでは1674年のものもありました。
今回の書類の日付は 「29 Oct 1740」つまり、1740年10月29日です。
その頃は英国にとってどんな時代だったのでしょうか。
まず、1740年の統治者はジョージ2世(在位1724-1760)。ドイツ生まれのジョージ2世は、ブラウンシュヴァイク=リューネブルク公爵でもあり、神聖ローマ帝国選帝候でもありました。貪欲にして派手、そして政治に関しては、議会政治が発展し実質初代首相となった「Robert Walpole/ロバート・ウォルポール」伯爵に頼りきりであったといいます。
1740年にはオーストリア継承戦争(War of the Austrian Succession)が開戦。英国はマリア・テレジアのハプスブルク家と協力し、フランスと対立しました。
1760年頃から始まる産業革命にはまだ遠く、繰り返されるジャガイモ飢饉もあって庶民の生活は厳しいものであったと推測できます。タイムズ紙の発刊は1785年ではありましたが、ダニエル・デフォーの「ロビンソン・クルーソー(1719年)」、ジョナサン・スウィフトの「ガリヴァー旅行記(1726年)」は既に発表されており、全体の識字率は低いものの、読書人口も徐々に増加していた時代でもあります。
そんな時代に作られた1枚の書類。
私が見てきたヴィクトリア時代の書類の羊皮紙は、比較的きれいに整えられており、一見は紙ですが触るとしっとりとして、紙とは違う、とわかるようなものでした。しかし今回のものはみるからに異なります。紙は時間が経つとさらさらと脆くなっていくような印象ですが、この羊皮紙はゴワゴワと硬く、やはり「皮」としての要素を感じること9ができます。
内容に関しては、ところどころに分かる単語はあるものの、とてもどんな内容かまでは理解することができませんでした。
裏面に日付とともに覚書のようにある文章がございますので、とりあえずの訳をご紹介いたします。
Dated 29 Oct 1740
Hancock
to
Bacone Plumb
Relafe(Relate?) being a Settlement upon the Marriages of Sarah Bacon
with John Looker
1720年10月29日 HancockからBacone Plumbへ
Sarah BaconとJohn Lookerの結婚に際して身を落ち着けることに関連して
このことから、サラとジョンの結婚に関して、ハンコックからベーコンへと交わした契約書なのかな、と思います。
本人たち同士の契約ではなく、お互いの親戚か代理人同士の契約のような気がします。推測ではございますが、ここまでの書類を整えての結婚ですので、なかなか身分の高い方たちだったのかもしれません。
285年ほど前からきた1枚の書類。流麗なカーヴを描く文字たちはまるで魔法書のような雰囲気すら漂わせ、ごわごわとした羊の皮を開くときに、なにか歴史の一部を開いてみるような気持にさせられます。
是非貴方自身の手と眼で、イングランド、ジョージ2世時代の一幕をご堪能ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1740年
◆素材:羊皮紙
◆サイズ(広げた時):約82×58.8cm
◆サイズ(たたんだ時):約28×20.8cm
◆重量:127g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や破れ、折り跡がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*折りたたんだ状態でお送りいたします。
*折り跡の力は強く、なにかで抑えてないと閉じてしまいます。
*画像のペーパーウェイトやその他備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A















