英国アンティーク、スターリングシルバーのグリップをもつステッキ。
英国紳士の必需品、ステッキ。
もともとは護身用に、時代がくだればお洒落の一部として大切な身だしなみの一部でありました。
またシャフトが黒いステッキはどちらかといえば夜向けのもの。昼はマラッカやオークなどの茶系のステッキをお供にしていても、夜の外出時には黒のステッキでドレスアップするのがお洒落・・・とされていたようです。
今回ご紹介するのは、その夜のためのステッキ。
まず黒いシャフトは細身。
ただ、しっかりと固く、体重をかけてもしなりが少ないため、ローズウッドなどの堅木がつかわれていると考えられます。持ち手部分は持ちやすいクラッチハンドルで、こぶりななかにも緻密な唐草文様が施されており、高貴な雰囲気を漂わせています。
さてシルバーのホールマークを確認してみましょう。
非常にすり減っていてある程度の推測が含まれますが、まず一番右は横長の矩形で、アセイオフィスはシェフィールド。次はデイトレターで隅が切られた矩形に小文字、飾り文字の「e」もしくは「f」。次はおそらくライオンパサントで、一番左がメーカーズマーク。メーカーズマークは「L C」。
当時このタイプのフォントを使っていた「LC」のシルバースミスは「L Corper & Co」となり、本社はロンドンですが、他にチェスターのアセイオフィスなどでも登録があるため、シェフィールドでも可能性があるのではないかと推測いたしました。
デイトレターが「e」もしくは「f」であるならば、1897年もしくは1898年が認可を受けた年となります。
ロンドンでは1812年から、そして1830年代までにはほとんどの街にガスが引かれ、通りはガス灯がともされるようになったといいます。
「エジソン」が電球販売を開始するのは1881年で、アメリカではその後急速に電灯が普及しましたが、英国ではガス灯が先に広く普及していたため、電灯が広まるのはアメリカよりだいぶおそく、1900年代に入ってから徐々に・・・という感じだったとか。
ヴィクトリア時代の後半、このステッキが作られたころのロンドンの夜はガス灯の明りが主役だったことは間違いないでしょう。それまでのランプの光に比べればかなり明るく、そしてどこかあたたかく、優しげな光であるガス灯。
ヴィクトリアンの夜、ガス灯に照らされた夜の町を、黒いステッキを持った紳士は何処に向かったのでしょうか。
石畳に落ちる長い影を追いかけるように、貴方もステッキを持って是非夜の散歩にお出かけください。
◆England
◆推定製造年代:c.1897~1898年頃
◆素材:木(ローズウッドの可能性)、シルバー、他
◆サイズ:全長約90.2cm ハンドル幅約7.8cm
◆重量:190g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリや歪み、へこみ、変色等がみられます。
*シャフトは細身ですががっちりとしており、体重をかけてもあまりしなりません。
*前述のとおり、シルバーマークは不明確です。ホールマークのご説明には推測が含まれます。
*石突部分の金属は失われています。ご使用の際はゴム製のカバーをつけることをお勧めいたします。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A


















